どれだけ備蓄があっても、
どれだけ立派な避難計画があっても、
通信が途絶えた瞬間に、防災は機能しなくなる。
災害に強い国づくりの中で、
通信インフラの強靭化は最重要テーマの一つ。
ここでは、日本が目指すべき“強靭な通信の形”をまとめる。
■① 通信障害は“災害そのもの”になる
通信が止まると、社会は一気に混乱する。
● 家族の安否確認ができない
● 避難情報が届かない
● 決済・ATMが停止
● 病院・介護現場の連絡が不能
● 物流・企業活動がストップ
情報が断たれるということは、
命を守る判断ができなくなるということ。
災害対策は通信があって初めて成立する。
■② 大規模災害で“基地局が停止”する弱点
地震・台風・豪雨では、
各地で基地局の停止が発生する。
● 停電によるバックアップ切れ
● アンテナ破損
● ケーブル断線
● 道路寸断で復旧作業が遅れる
この課題を解決するために、
日本では通信設備の強靭化が急ピッチで進んでいる。
■③ 移動基地局車・ドローン基地局の重要性
災害時に活躍するのが“動く通信設備”。
● 移動基地局車(車ごと基地局)
● 可搬型衛星アンテナ
● バルーン基地局
● ドローン基地局
これらは、通信が断たれた地域に即座に投入でき、
数時間でエリア復旧が可能。
被災地支援の初動を支える生命線となる。
■④ 衛星通信が“最後の砦”になる時代
近年は、
Starlink のような衛星インターネットの活用で
通信の多重化が加速している。
● 地上設備が壊れても通信が確保
● 避難所のWi-Fi確保
● 公的機関の代替通信
● 山間部・離島でも利用可能
日本の自治体でも導入が進み、
災害時に“途絶えない通信”が現実になりつつある。
■⑤ 5G・ローカル5Gで“地域の通信力”が強化される
5Gには防災と相性の良い特徴がある。
● 同時接続数が多い
● 遅延が少ない
● 大容量データを扱える
これにより、災害時に
監視カメラ・ドローン・センサーからの情報を
リアルタイムで集約できる。
特にローカル5Gは、
工場・病院・自治体などが独自で通信網を構築できるため、
外部が止まっても“地域だけで動ける”力になる。
■⑥ 通信多重化が命を守る
強靭な通信とは、
「1つが止まっても別のルートでつながる」状態。
● 携帯回線(4G/5G)
● 光・有線インターネット
● 公衆無線LAN
● 衛星通信
● ドローン・バルーン基地局
複数の通信が重なって初めて、
社会は災害を乗り越えられる。
■⑦ 個人に必要な“通信の備え”
家庭レベルでも、通信対策はできる。
● モバイルバッテリー
● 予備スマホ
● 充電ケーブルを複数
● オフライン地図アプリ
● ラジオ(電池式・手回し)
● 大手キャリア+サブ回線(デュアルSIM)
通信を確保できる人は、
避難判断も、家族連絡も、生活維持もできる。
■まとめ|通信は“命のインフラ”。国と個人の両方で強化する時代
防災×国土強靭化において、通信は柱の一つ。
● 基地局の耐災害化
● 避難所の衛星通信
● 移動基地局の即応体制
● 5G/ローカル5Gの活用
● 通信ネットワークの多重化
これらが進むことで、
日本全体の災害対応力は飛躍的に向上する。
そして、個人のスマホの備えが
そのまま“家族の命を守る力”になる。
次は、国土強靭化の視点から
「防災×住宅・まちづくり」を深掘りする。

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