巨大地震・豪雨・感染症──
日本では「医薬品が不足するリスク」が、以前よりも確実に高まっている。
特に災害時は流通が止まり、
病院・薬局・避難所で“薬が届かない”ことが大きな問題になる。
そこで重要になるのが、
創薬・先端医療 × 供給システム の進化。
災害時の薬切れを防ぐための仕組みは、すでに大きく変わり始めている。
■① 医薬品の“国内生産強化”が命を守る
近年の医薬品不足の背景には、
● 原材料の海外依存
● 国内工場の減少
● コロナ以降の需要変動
がある。
災害時は海外輸送が止まりやすく、
医薬品の“国内生産能力”が非常に重要。
● 抗生物質
● ワクチン
● 生活習慣病の薬
● 小児薬・高齢者向け薬
これらを国内で安定供給できれば、
避難所でも薬切れの心配が大きく減る。
■② モバイル薬局(災害用薬局)の整備
災害時に各地へ走る“移動型薬局”が全国で増えている。
● 電子カルテ連携
● 処方箋のデジタル管理
● 必要薬の即時提供
● 要配慮者への服薬サポート
まさに医療版の「キッチンカー」。
これが普及すれば、
避難所・断水地区・高齢者施設へ
迅速に薬を届けられる。
■③ ドローン配送で“薬が届くスピード”が変わる
地震・豪雨で道路が寸断されると、
薬の輸送は大きく遅れる。
そこで注目されるのが ドローン物流。
● 山間部・離島に薬を届ける
● アレルギー薬・心臓薬など緊急薬を即時配送
● 被災地の医療スタッフの負担軽減
特に“救急薬の即時配送”は、
命を直接左右する。
■④ 電子処方・オンライン服薬指導が災害時に強い
災害で紙の処方箋が使えないケースが多発する。
電子処方なら、
● 紛失の心配なし
● 避難先でも再発行が簡単
● 医師と薬剤師の連携が高速化
● 薬の重複・飲み合わせミスが減る
避難生活で薬を切らす人が減り、
慢性疾患の悪化を防げる。
■⑤ AIによる“需要予測”が薬不足を防ぐ
AIは災害時の各地域で必要となる薬を
事前に予測できるようになってきた。
● 被災人口
● 高齢者割合
● 気温・湿度
● 感染症の流行状況
● 過去災害データ
これらを統合し、
“どの地域に何の薬を何箱送ればいいか”を
事前に判断できる。
供給ミスが減り、適切な場所に薬が届く社会へ。
■⑥ 個人の“薬の分散保管”が在宅避難を強くする
創薬・供給システムだけでなく、
家庭の工夫も非常に重要。
● 自宅
● 車
● 非常持ち出しバッグ
● 実家
● 職場
このように保管場所を分けておけば、
自宅が被災しても服薬を継続できる。
特に高齢者・生活習慣病のある人は必須。
■⑦ 専門医不足を埋める“遠隔薬剤師”
医師だけでなく、薬剤師の遠隔支援も広がっている。
● 適切な用量の判断
● 飲み合わせの確認
● 小児への投薬サポート
● 高齢者の飲み忘れチェック
避難所や在宅避難の人でも、
薬剤師のサポートが受けやすくなる。
■まとめ|“薬が切れない”社会は最大の防災力
創薬・先端医療の進化に加え、
物流・デジタル化・AIによる供給システムが整えば、
● 避難所で薬が不足しない
● 慢性疾患の悪化を防げる
● 高齢者・子どもの命が守られる
● 在宅避難でも安心して生活できる
“医薬品が確実に届く社会”は、
災害に強い国をつくる最重要ポイント。
次は、防災×創薬・先端医療③として
再生医療・遺伝子医療が災害医療をどう変えるか をさらに深掘りする。

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