大規模災害では、ケガだけでなく
“避難生活中の健康悪化”が深刻な問題になる。

高血圧、糖尿病、感染症、脱水、ストレス障害…。
こうした二次的な健康被害は、命に関わることもある。

その弱点を補うのが、創薬技術と先端医療の進歩だ。
避難生活の安全性は、医療テクノロジーで大きく向上している。

■① 避難所での感染症を防ぐ“超迅速ワクチン”

避難所は“集団生活”となり、感染症が広がりやすい。
mRNAワクチン技術の普及により、次のような未来が現実化している。

● 避難所専用ワクチンの短期間開発
● 変異ウイルスへ即対応
● 小規模ロットの地域生産
● 高齢者・子ども向けの個別投与

「避難所クラスター」を未然に防ぐ力が大きく高まる。

■② 服薬を助ける“スマート錠剤”が高齢者を守る

避難所では、薬の飲み忘れが命取りになる。
特に生活習慣病のある高齢者は要注意。

スマート錠剤は、
● 飲んだタイミングをスマホに通知
● 飲み忘れアラート
● 個人別の服薬管理
が可能になる。

災害時でも、持病の悪化を確実に防げる。

避難生活で増えるのが、
● 血圧上昇
● 不整脈
● 睡眠不足
● 体調悪化の見逃し

スマートウォッチは、こうした体調の変化を早期発見できる。

● 心拍数の異常
● 血中酸素飽和度の低下
● ストレスレベルの上昇
● 熱中症リスクの予測

“見守りの医療者”としての役割が非常に大きい。

被災地では病院の機能が落ちるが、
ポータブル検査機があれば、その場で診断が可能になる。

● 携帯型PCR検査
● 血糖値・電解質の即時測定
● ポータブルエコー（超音波）
● 携帯型血液検査デバイス

診断スピードが上がれば、
重症化を確実に防ぐことができる。

避難生活では、心の健康が大きく揺らぐ。
ストレス、不安、睡眠不足は命に影響する。

AI×医療の力で、心のケアも進化している。

● ストレス数値の可視化
● 瞑想・呼吸アプリによる自律神経調整
● 睡眠の質を改善するデジタル治療
● 子ども向けメンタルケアアプリ

心のケアは、もはや“贅沢”ではなく“必須の防災医療”。

被災時は
● 水が不足して薬が飲めない
● 高齢者が服薬を忘れる
● 子どもが薬を嫌がる
などの問題が起きる。

そこで注目されているのが「貼る治療薬」。

● 鎮痛剤
● ぜんそく治療
● 心疾患治療
● ホルモン治療

パッチを貼るだけで治療が進むため、
避難生活でも確実なケアが可能。

災害時は冷蔵保存が難しいが、
最新医療では常温保存できる医薬品が増えている。

● インスリンの常温保存技術
● ワクチンの冷蔵不要化
● 抗生物質の保存性向上

「薬がダメになるリスク」を減らすことは
命を守るうえで非常に重要だ。

創薬・先端医療の発展は
避難所の弱点を補い、命を守る力を高めている。

● 感染症対策
● 服薬管理の向上
● 体調急変の早期発見
● 心のケア
● 病院の機能低下を補うテクノロジー

避難生活は、医療テクノロジーによって確実に安全になる。

次は、防災×創薬・先端医療⑤として
災害後の“生活再建を支える医療テクノロジー” を深掘りする。