豪雨・台風・線状降水帯による水害は日本各地で増加している。
浸水被害は一度起きると復旧に時間がかかり、生活再建にも大きな負担となる。
近年は「水が入りにくい家」「浸水しても致命的な被害にならない家」をつくるため、
建材・構造・素材が大きくアップデートされている。
ここでは、水害に強い住宅を実現するための最新マテリアルを紹介する。
■① “止水ドア・止水パッキン”で水の侵入を抑える
大雨時、最も多い浸水経路が「ドアの隙間」。
これを防ぐために止水性能の高い製品が増えている。
● 止水パッキン付き玄関ドア
● 隙間をふさぐ防水ガード
● 簡易止水ボード(後付け可能)
これらを使うことで、
● 床下・床上浸水のリスクを大幅に低減
● 瞬時の水圧にも耐えやすい
● 夜間の急激な水位上昇にも対応可能
“入口を守る”だけで被害は大幅に変わる。
■② 逆流を防ぐ“排水設備マテリアル”が必須
浸水でよく起きるのが下水の逆流。
最近は住宅用でも逆流防止の仕組みが普及してきた。
● 逆流防止弁
● 防水性の高い排水管
● 雨水と生活排水の分離構造
メリットは明確で、
● 汚水逆流の被害が激減
● 浸水後の清掃・消毒が楽
● 居住スペースの汚損を防げる
逆流防止の有無は“生活再建のスピード”に直結する。
■③ 床材・壁材は“水に強い素材”を選ぶ時代
浸水後に最も大変なのが床・壁の張り替え。
近年は、水濡れに強く、乾燥しやすい素材が増えている。
● 耐水フローリング
● 塩ビタイル(丈夫で乾燥が早い)
● ウォータープルーフ壁材
● 発泡スチロール系の断熱材(吸水しにくい)
これにより、
● 浸水後の撤去作業が軽減
● 乾燥・復旧までの期間が短縮
● カビ被害を最小化
「水に強い家」は、復旧の速さが段違いだ。
■④ 家具・設備の“かさ上げ素材”で命を守る
水害は、水に浸かること自体よりも
家電ショート・倒壊・食品の全滅が危険。
そのため、かさ上げ用マテリアルが重要になる。
● 冷蔵庫・洗濯機のかさ上げブロック
● エアコン室外機の高架設置
● 電気配線の高所設置
● 収納棚の防水パレット設置
これにより、
● 感電リスクの低減
● 家電の全滅を防ぐ
● 食品備蓄の浸水を防止
● 高齢者・子どもの避難動線が確保できる
「家の中の高さ管理」が水害防災の基本になる。
■⑤ 水害に強い“外構マテリアル”の重要性
住宅の外側を守る素材も水害対策では必須。
● 排水性の高い砂利
● 雨水を通す透水ブロック
● 浸水を防ぐ止水シート
● 雨水マスの大型化
これにより、
● 家の周囲に水が溜まりにくい
● 外壁・基礎への圧力が減る
● 地盤の緩みを抑えられる
外構の工夫は、家全体の“浸水耐性”を大きく左右する。
■⑥ 水害後の“復旧を早める素材”が増えている
最近は、水害後の復旧をスピード化するための素材も登場している。
● 乾燥が早い断熱材
● カビの繁殖を抑える防カビボード
● 水に強いフロア下地材
● 交換が容易なモジュール床材
これにより、
● 元の生活に戻る期間が短縮
● 衛生被害の拡大を防止
● 修繕費が抑えられる
水害は「復旧の遅さ」が二次災害になる。
素材選びはその影響を大きく減らす。
■まとめ|水害対策は“備える家づくり”が最大の防災
水害は地震と違い、事前にある程度予測可能な災害。
だからこそ、家の構造・素材を工夫するだけで大幅に被害を減らせる。
● 止水ドア・止水パッキン
● 逆流防止設備
● 水に強い床・壁材
● 家電・配線のかさ上げ
● 外構の透水・排水素材
● 復旧を早める建材
これらを組み合わせれば、
“浸水しても命と生活を守れる家”をつくることができる。
水害が増える時代だからこそ、住まいを水に強くすることが、家族の安全につながる。

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