【元消防職員・防災士が解説】防災×マテリアル⑫|“壊れにくい家”をつくる最新素材と耐災害テクノロジー

巨大地震・大型台風・記録的豪雨。
住宅が受けるダメージは年々増加している。
しかし最新の「マテリアル技術(材料科学)」によって、家は以前より“壊れにくい構造”へ進化している。

ここでは、現代の住宅を守るための耐災害素材を紹介する。


■① 地震に強い“制震ダンパー素材”が揺れを吸収する

大地震では「建物がどれだけ揺れを吸収できるか」が生死を分ける。

最新の制震素材は次のとおり。

● 高減衰ゴム(ビルにも採用)
● 粘弾性ダンパー
● 金属ダンパー(座屈拘束ブレース)
● オイルダンパー

ポイントは、強烈な揺れでも「建物の骨組みを守る」こと。

粘弾性素材は“熱として揺れを逃がす”ため、
繰り返しの余震にも強い。


■② 台風に強い“耐風圧素材”で屋根・外壁が飛ばされない

大型台風で被害が増えるのが、
● 屋根の飛散
● 外壁の剥離
● サッシ破損

これらは、強風に耐える素材で大幅に軽減できる。

● 高耐風屋根材(ガルバリウム鋼板など)
● 耐水合板・防水下地材
● 強化ガラス・複層ガラス
● 防風シャッター・耐風ルーバー

特に“合わせガラス”は衝撃に強く、
飛来物による窓割れを防げる。


■③ 豪雨・浸水に強い“耐水マテリアル”で住まいを守る

水害が増えている今、
家の耐水性は命と財産を守る重要ポイント。

● 耐水フローリング
● 樹脂サッシ
● 防水コンセント
● 耐水断熱材(押出法ポリスチレンフォーム)
● 浸水対策ドア(止水パッキン搭載)

浸水を完全に防ぐのは難しいが、
被害を「軽減する」ことはできる。

浸水時、木材は腐敗・カビの原因になるため、
水に強い断熱材や樹脂素材が有効。


■④ 火山灰・粉じんに強い“耐火・耐塵素材”が呼吸器リスクを減らす

火山噴火や大規模火災では、
“粉じんによる健康被害”が家の中まで及ぶ。

そんなとき有効なのが、

● 高気密サッシ
● 高性能フィルター付き換気口
● 耐火断熱材
● 目詰まりしにくい外壁材

火山灰はすき間から侵入するため、
気密性の高い素材と組み合わせることで被害を防げる。


■⑤ 長寿命化素材で“災害に強い家が長持ち”する時代へ

災害は家の老朽化が早いほど被害が大きくなる。

そこで最近は、耐久年数の長い素材が注目されている。

● 耐腐食金属
● 劣化しにくい合成木材
● 紫外線に強い外壁塗料
● 耐候性シーリング材

これらにより、
「家が弱るスピード」を遅くし、
災害に強い家を維持できる。


■⑥ “防災リフォーム”で既存住宅でも災害対策が可能

新築だけが対象ではない。
既存の家でも素材を変えることで防災力を底上げできる。

● 制震ダンパーの後付け
● 外壁の耐火サイディング化
● 窓を複層ガラスに変更
● 雨戸・シャッターの設置
● 屋根材の軽量化

コストはかかるが、「命の保険」として価値は高い。


■まとめ|最新素材は“命を守る技術”。家の弱点を知り、補強する時代へ。

災害は確実に強烈になっている。
しかし、住宅素材(マテリアル)はそれ以上のスピードで進化している。

● 地震 → 制震・耐震素材
● 台風 → 耐風圧素材
● 豪雨 → 耐水・防水素材
● 粉じん → 気密・耐火素材
● 長寿命化 → 災害に強い家を維持

“素材の選び方”で家の生存率は確実に変わる。

防災はモノの備蓄だけでは完成しない。
住まいそのものを災害に強くしていくことで、
あなたと家族の災害リスクは確実に下がる。

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