【元消防職員・防災士が解説】防災×水害対策×建築資材④|“水を入れない家づくり”が未来のスタンダードになる

近年の水害は「床下浸水で済む」はもう昔の話。
今は 一気に床上浸水 → 家の機能が停止 → 数百万円の修繕費 というケースが増えている。

そのため、建築業界では“水を入れさせない家づくり”が本格的に広がっている。
今回は、最新の水害対策資材と技術をさらに掘り下げて解説する。


■① 地盤を守る“止水性改良土”が標準化しつつある

水害住宅の多くは、地盤が水を吸って“浮き土化”する。
これを防ぐのが 止水性改良土

● 土に特殊材を混ぜて水を吸いにくくする
● 地盤の流出・沈下を防ぐ
● 浸水しても家が傾きにくくなる

特に低地・河川近くは採用する家庭が急増している。


■② 家の周囲を守る“高機能透水ブロック”

近年注目されているのが 透水性舗装ブロック

● 大雨時に地中へ一気に水を逃がす
● 雨水が庭に溜まりにくい
● 建物周囲の浸水を遅らせる

家の地盤の“受け皿”として効果が大きい。


■③ 雨どいを強化する“耐水ハイキャパ雨どい”

水害では雨どいの能力不足も大きなリスク。
古い家は特に排水量が足りない。

● 従来の2倍以上の排水性能
● ゴミ詰まりしにくい構造
● 豪雨でもオーバーフローしにくい

雨どいだけで浸水リスクが大きく変わる。


■④ 漏水発見の早期化“スマート漏水センサー”

最近は、防災とIoTの組み合わせが一気に進んでいる。

● 床下の水を自動検知
● スマホに即通知
● 数センチの浸水でも検知可能

マンション・戸建て問わず導入が増えている。


■⑤ 浸水を遅らせる外構“かさ上げ玄関ステップ”

玄関から水が入る家は多い。
そこで有効なのが 玄関ステップのかさ上げ

● 階段を1〜2段追加
● 自然な見た目で浸水を遅延
● 車椅子スロープも併設可能

「家の入り口を上げる」というシンプルな方法だが効果は高い。


■⑥ 床上浸水後に役立つ“排水・乾燥スムーズな床材”

水害は“乾かない”のが最大の敵。

● 水を吸わない樹脂床
● 隙間から水が抜ける通気構造フローリング
● カビ基本抑制材入りの下地

復旧までの時間が大幅に短縮される。


■⑦ 壁内部の浸水対策“防水透湿シート”

壁体内に水が入ると復旧費が跳ね上がる。
対策として 透湿防水シート が必須に。

● 外からの水を遮断
● 内部の湿気だけ逃がす
● カビ・腐敗を抑制

水害復旧工事でも採用されている技術。


■⑧ 水を吸わない“耐水断熱材”

通常の断熱材(グラスウール等)は水を吸って機能停止。
最近は水害対応の断熱材が普及している。

● 発泡系の耐水断熱材
● 浸水後も乾きやすい構造
● 取り替え量が最小限で済む

床下・壁・天井の水害リスクを減らす。


■⑨ 浸水に強い“高基礎+パッシブ基礎設計”

水害地域で増えているのが 高基礎住宅

● 基礎を高くして床への浸水を遅らせる
● 格納庫・収納スペースにも使いやすい
● 機械設備を高所へ逃がせる

浸水しても生活再開が早くなる。


■⑩ 外構で守る“一時貯留スペース”

家の周辺に水を逃がす・溜める仕組みも重要。

● 雨庭(レインガーデン)
● 調整池として使える低地スペース
● 植栽による吸水性向上

外構が水害対策の第一ラインになる。


■まとめ|“家を守る”は建材の選び方で決まる

水害対策の本質は、

● 水を入れない
● 入っても最小被害で済ませる
● 復旧を最短にする

この3点。

そのために、建材は「価格」ではなく「水に強いかどうか」で選ぶ時代になった。

水害は年々激甚化している。
家の弱点を知り、小さな設備からでも強化することが、命と生活を守る何よりの防災となる。

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