【元消防職員・防災士が解説】防災×防衛産業⑰|“通信支援カー”が被災地の命綱になる理由

大規模災害が起きた時、最も早く途絶えるのが“通信”。
スマホがつながらない──この事態は想像以上に深刻で、
救助・避難・医療・物流すべてが止まってしまう。

そんな状況で圧倒的な力を発揮するのが 通信支援カー(移動通信基地局車)
携帯会社や防衛関連の通信車両が、被災地で“臨時の電波”を立ち上げ、
通信を回復させる命綱となる。


■① 通信が止まると“命の情報”すべてが途切れる

災害時に通信が途絶することは、生活が止まるだけではない。

● 救助要請が届かない
● 家族と連絡できない
● 避難情報が受け取れない
● 医療現場が機能しない
● SNSの災害情報が消える
● 燃料・物資配送の調整が不可能

現代の防災は“通信が生きていること”が前提。
その通信が落ちた瞬間、社会全体が麻痺する。

通信支援カーは、この最悪の事態を防ぐ存在だ。


■② “自走できる通信基地局”だから初動が圧倒的に早い

通信支援カーは、災害発生後すぐに被災地へ向かう。

● 車両にアンテナを搭載
● 発電機を自給
● 数時間で仮設基地局を展開
● 山間部や沿岸部など電波弱点地域にも到達

特に携帯キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天)の
移動通信車は、全国で災害に備え待機している。

停電・基地局損壊・光回線断絶──
どんな状況でも電波を復活させるのが強みだ。


■③ “避難所の通信”を早期に回復しストレスを軽減

避難所で最も多い声が、

「Wi-Fiがつながらない」
「家族と連絡できない」
「SNSで最新情報が取れない」

という不安。

通信支援カーは避難所近くに配置され、

● スマホがつながる
● SNSで災害情報が拾える
● キャッシュレス決済が可能
● 住民のメンタル安定
● 行政の連絡作業が再開

避難生活の質が劇的に改善する。


■④ ドローン・ロボットの稼働にも“通信”が必要

今の災害対応はデジタルが主役。
特にあなたの専門分野であるドローンも、通信支援がなければ動けない。

● ドローンによる被害調査
● 物資搬送
● 捜索活動
● 広域の空撮評価

これらは通信があって初めて機能する。

通信支援カーが入れば、
ドローン隊・消防・警察・自衛隊がスムーズに連携でき、
大規模災害時の“情報の空白”を埋めることができる。


■⑤ キャッシュレス復旧にも必須のインフラ

被災地では現金が手に入りにくい。
そのため、キャッシュレス復旧は優先度が高い。

● モバイル決済
● クレジット端末
● ATMカー
● 救援物資の受け取りデジタル管理

これらは“通信が復活した瞬間に”動き出す。
通信支援カーは、地域経済の再起動にも直結している。


■⑥ 自衛隊の通信車両は“災害最強レベル”

防衛産業の技術は災害現場で真価を発揮する。

● 高性能アンテナ
● 秘匿通信
● 長時間運用発電機
● 想定外の地形でも展開可能
● 大規模災害で複数車両が並列運用

被災地の“通信の穴”を埋める存在として、
自衛隊の通信車は世界でも高い評価を受けている。


■⑦ 通信支援カーが来るだけで“被災者は安心する”

通信が戻った瞬間、避難所の空気は変わる。

● 家族の安否確認ができる
● SNSで外の情報がわかる
● 孤立せずにすむ
● 相談先が見つかる
● メンタルが落ち着く

“つながる”というだけで、人は強くなれる。

通信支援カーは、被災した人々のメンタルにとっても救いとなる。


■まとめ|通信を取り戻すことは“日常を取り戻すこと”

通信支援カーは、災害の初動で必ず必要になる車両。
その役割は、単なるインフラ復旧ではない。

● 命の連絡をつなぐ
● 避難判断を助ける
● 家族を安心させる
● 行政の情報共有を支える
● ドローンやITを動かす
● 経済活動を復旧させる

現代の災害において、通信は“空気”と同じ。
失って初めて、その重要性に気づく。

通信支援カーは、
その空気を再び被災地に届けるための、なくてはならない存在だ。

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