【元消防職員・防災士が解説】防災×情報通信①|災害時に“つながる力”が生存率を変える

現代の防災において、最重要とも言えるのが 情報通信インフラの確保
地震・豪雨・停電が発生すると、私たちが当たり前に使っている通信は一気に弱くなる。
しかし、連絡が取れない・情報が届かない状態は、命の判断を遅らせる“最大のリスク”だ。

ここでは、情報通信がなぜ防災と直結するのか、そして家庭レベルでどう備えるべきかを解説する。


■① 災害で通信は“真っ先に弱る”インフラ

災害が発生すると、通信網は次の理由で機能低下する。

● 基地局の停電
● 電柱・光ファイバーの損傷
● 通信量の急増(輻輳)
● 地域一帯の停電による設備停止

「災害時にスマホがつながらない」は決して例外ではなく、“当たり前に起きること”だ。

だからこそ、通信を確保できる人は、災害情報をいち早く受け取り、安全な行動が取れる。


■② “つながる人”だけが助かる時代

通信が生死を左右する理由は明確。

● 避難指示・警戒レベルが届く
● リアルタイムの河川情報が見られる
● 家族の安否確認ができる
● 避難所の混雑状況を把握できる
● ライフライン復旧情報を得られる

情報が取れなければ「逃げる判断」ができず、正常性バイアスが強まり、避難が遅れる。
情報通信は“命のためのインフラ”になっている。


■③ 輻輳(ふくそう)を知る:つながらないのは故障ではない

災害発生直後、スマホがつながらなくなる現象の多くは 輻輳(通信混雑)

● 多くの人が同時に電話
● 一斉にSNSアクセス
● 情報検索の集中

基地局の処理能力を超えて通信が詰まり、
「圏外ではないのに通信できない」という状態が頻発する。

この時に役立つのが SMS・LINE・災害伝言板 のような“軽い通信”。
特にLINEのスタンプだけの送信は通りやすい。


■④ オフライン状態でも助かる人の共通点

災害時、通信が止まっても行動できる人は“事前準備”が徹底している。

● オフライン地図アプリをDLしている
● 家族の避難行動計画(マイタイムライン)を共有
● 近所の避難所の位置・ルートを覚えている
● 気象警報の基礎知識がある

つまり、通信が切れても動けるようにしておくことが真の防災力。


■⑤ モバイルバッテリーは“情報通信の命綱”

どれだけ情報が重要でも、スマホが電池切れなら何もできない。

● 家族全員分の大容量バッテリー
● 充電速度の速いPD対応
● ソーラーバッテリーの併用
● 車で充電できる環境を確保
● ケーブルを複数準備

“通信は電池があってこそ”という当たり前を災害前に整える。


■⑥ 複数キャリア・eSIMの併用は最強

近年は マルチキャリア化 が災害時の大きな強みになっている。

● docomo
● au
● SoftBank
● 楽天
● 格安SIM(mineo・IIJ・povoなど)

キャリアごとに基地局の配置が異なるため、
「A社は圏外でもB社はつながる」ということが普通に起こる。

● 主回線+サブ回線
● eSIMで2社契約
● 通信障害対策

これが災害時の“スマホの保険”になる。


■⑦ 衛星インターネットは災害時の新しい武器

近年、災害現場で注目されているのが 衛星通信

● Starlink(スターリンク)
● KDDI 衛星通信
● 災害対策の移動基地局

建物の倒壊・浸水・基地局停止があっても、
衛星通信ならつながる可能性が高い。

避難所でのWi-Fi提供、自治体の指揮系統維持にも使われ始めている。


■まとめ|“通信を確保できる人”が災害を生き延びる

災害時に生き残る力は、今や“情報通信力”といっても過言ではない。

● スマホがつながる
● 情報が正しく届く
● 家族と連携できる
● オフラインでも動ける
● バッテリーが切れない

これらはすべて命に直結する力。

情報通信を守ることは、あなたと家族の未来を守ることにつながる。
今日できる準備を、一つずつ積み重ねていこう。

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