【元消防職員・防災士が解説】防災×情報通信④|“災害時のデマ対策”と正確な情報の見抜き方

大規模災害が発生すると、被害そのものよりも危険なのが“デマの拡散”。
SNS・ショート動画・生成AIを使った偽情報が一気に広がり、避難判断を誤らせるケースが急増している。

ここでは、災害時に誤情報に振り回されないための“正しい情報の見抜き方”をまとめる。


■① 災害時にデマが爆発する理由

災害が起きると人は不安になる。
その不安が「とりあえず共有」「不確実情報の拡散」を生む。

● 投稿者が現場を見ていない
● AIで生成された画像・動画の氾濫
● “早く知らせたい”心理が誤情報を増幅
● SNSの拡散アルゴリズムが刺激的内容を優先
● 誰でも“専門家っぽく”発信できる時代

正しい情報より嘘の方が早く・広く・強く広がるのが現代の災害。


■② 絶対に信じてはいけない情報の特徴

災害時は、以下の特徴を持つ投稿は“疑ってかかる”のが鉄則。

● 出どころが書かれていない
● 「友達から聞いた」「知り合いの消防士が言ってた」系
● 過激な言葉(爆発寸前・全滅・壊滅など)
● 明らかに画質が不自然な画像・動画
● 時系列がおかしい
● 投稿者の正体が不明

特にAI生成画像は見分けがつきにくく、視覚情報だからこそ信じ込みやすい。


■③ 正しい情報は“必ず複数の公式情報で確認する”

防災の基本は「公式情報を軸にする」こと。

● 気象庁
● 国土交通省
● 地方自治体
● 消防・警察
● NHK防災
● ライフライン事業者(電力・ガス・通信)

1つの情報をそのまま信じるのではなく、
“最低2つ以上の公式情報で裏を取る”ことが命を守る。


■④ SNSは“速報性は高いが正確性は低い”

SNSは便利だが、災害時はこうした弱点がある。

● 嘘でも一瞬で広がる
● 感情的な投稿に引っ張られる
● 投稿者の身元が不明
● AI加工で写真も信用できない
● 通信輻輳で更新されにくい

SNSは“傍観的に使う”のが安全。
避難判断をSNSに頼るのはNG。


■⑤ 「その情報が本当なら、行政は動いている」理論

災害時は、多くのデマが“現実なら行政が動いているはずの内容”ばかり。

例:
●「ダムが決壊するらしい」
→ 本当なら市町村が緊急発令している

●「海が急に引いた、すぐ津波が来る」
→ 本当なら気象庁が緊急警報を出している

●「電力会社が今日中に停電復旧するって言ってた」
→ 本当なら公式発表がある

行政が動いていなければ、“その情報は誤情報の可能性が高い”。


■⑥ デマに引っかからない人は“行動原則”を持っている

正確な情報を見抜ける人は、事前に行動基準を作っている。

● 情報の発信元を必ずチェック
● 不確実情報を家族に送らない
● 公式情報を優先
● 出典が曖昧な投稿は「見ない・広めない・信じない」
● SNSの通知をオフにする(パニックを避けるため)

災害時の情報は“冷静さを保てる環境”も大切。


■⑦ 家族の避難判断は“デマに依存しない仕組み”をつくる

デマで逃げ遅れたり、逆に危険な場所へ向かうのは最悪のケース。

だから家庭内で以下を共有する。

● 避難開始のトリガー(警戒レベル4で避難など)
● 公式情報の確認元
● SNS情報は参考程度
● 情報が無くても逃げる判断基準
● 子ども・高齢者は早期避難を優先

情報が乱れる災害時でも“同じ判断”ができる家族は強い。


■まとめ|デマ対策は“情報を疑う力”が命を守る

災害時に命を落とす人の多くは「情報の誤り」が原因。
だからこそ、デマを見抜く力は立派な防災スキル。

● 出どころの不明情報は疑う
● SNSは感情を煽るだけのときがある
● 公式情報で裏取りする
● デマに影響されない行動基準を家族で作る

情報を正しく扱える人は、災害の混乱を生き残る。
今日から“デマに負けない防災力”を身につけよう。

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