【元消防職員・防災士が解説】防災×海洋④|港で災害が起きたとき“絶対にやってはいけない行動”

海に近い港湾エリアは、普段は活気がある一方、災害時には“最も危険な場所”へ一変する。
地震・津波・高潮・火災・液状化など、複数のリスクが同時に襲うことがあるためだ。

ここでは、港で災害が発生した瞬間に「絶対にやってはいけない行動」をまとめる。


■① 揺れのあとに“海を見に行く”

最も危険で、最もやってしまいがちな行動。
地震の後、海の様子を見に行きたくなる心理はごく自然だが、これは命取りになる。

● 津波は地震から数分で到達する
● 小さな引き潮が大津波の前兆
● 港湾部は“津波の威力が増幅する”地形

海に近づく=致命的な判断ミス。
揺れたら必ず「海から離れる」が鉄則。


■② 車で港から脱出しようとする

港は一本道・行き止まりが多く、車避難は渋滞が即死につながる。

● 港湾道路は狭く、対向車で詰まる
● 倒壊物・コンテナで通行不可になる
● 津波浸水で車が浮く・流される

徒歩のほうが確実かつ安全に避難できる。
“車は最終手段”と心得ておく。


■③ 倉庫・コンテナ周辺に留まる

地震後の倉庫街・コンテナヤードは危険地帯。

● コンテナは数トンの重量
● 揺れで崩れ、数秒で命を奪う
● フォークリフト・重機が倒れる危険性

「動くもの・積み上がっているもの」から必ず離れる。
倒壊・落下・挟圧事故のリスクが高い。


■④ 船に“飛び乗って逃げる”という判断

地震直後、船に逃げ込むのは極めて危険。

● 船は岸壁に叩きつけられる
● ロープが切れ、船が流出する
● 火災が起きれば逃げ場がない

海の上は安全どころか、逃げ道がゼロになる。
まずは陸側へ避難するのが原則。


■⑤ 港湾施設の高所へ“勝手に上がる”

津波避難のために高所に上がりたくなるが、次の危険がある。

● 老朽化した桟橋・タラップが崩落
● 立入禁止区域は構造が弱い
● 倒壊・落下で二次災害が発生

港には“安全に上がれる高所”と“危険な高所”が存在する。
避難ビル・指定高台を優先する。


■⑥ 港内の火災を“見物しに行く”

港湾火災は、一般の火災よりも拡大スピードが速い。

● 可燃物(油・化学品)が多い
● 爆発の危険性
● 有毒ガス発生の可能性

爆発事故は距離があっても危険。
火災時は“港から離れる”が唯一の正解。


■⑦ 津波警報が解除される前に戻る

港の津波は“第二波・第三波のほうが高い”ケースが多い。

● 第一波は小さいことがある
● 数時間後に最大波が来る
● 港は地形的に波が集まりやすい

避難解除までは絶対に戻らない。
港は特に「戻る危険性」が高い場所だ。


■まとめ|港は“災害時に最も危険なエリア”。迷わず内陸へ

港湾部は、普段は便利でも、災害が起きた瞬間“危険が凝縮される場所”に変わる。

● 海を見に行かない
● 車で逃げない
● コンテナから離れる
● 船に乗らない
● 火災を見に行かない
● 警報解除前に戻らない

この行動基準を守るだけで、生存率は大きく上がる。

港に関わる人はもちろん、観光や仕事で港を利用する人も、必ず覚えておきたい防災知識だ。

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