【元消防職員・防災士が解説】防災×海洋⑥|“海辺の観光地”で災害が起きた時に必ず守るべき行動ルール

海水浴場・港町・海沿いの観光地は、普段はにぎやかで美しい場所だ。
しかし、災害が発生した瞬間、海辺は“危険が集中するエリア”へ一変する。
津波・高潮・地震・突風・高波――複数のリスクが同時に襲うからだ。

ここでは、海辺の観光地で被災した時に「必ず守るべき行動ルール」をまとめる。


■① 揺れたら即「海から離れる」が最優先

海辺で地震を感じたら、考えるより先に行動することが命を守る。

● 海は最も危険な場所
● 震源が遠くても津波は来る
● 数分で到達するケースが多い
● “弱い揺れ=安全”は完全に間違い

地震を感じた瞬間に、海から背を向けて動くことが生死を分ける。


■② 高台・堅牢な建物へ最速で移動する

海辺の避難は「垂直避難」と「水平避難」を組み合わせるのが鉄則。

● 高台(標高10m以上)へ
● 海抜ゼロメートル地帯は最速で脱出
● 逃げる途中で海を振り返らない
● 避難ビルがあれば最優先で向かう

海沿いは津波が“壁のように押し寄せる”。
安全圏に着くまで止まらない。


■③ 車は使わず、徒歩で避難する

観光地は道路が混雑し、地震後はさらに危険が増す。

● 観光車両で渋滞が発生
● 信号停止・電柱倒壊で通行不能
● 津波に巻き込まれれば車は致命傷

徒歩で避難できる距離なら、迷わず歩く方が生存率が高い。


■④ 海岸沿いの崖・遊歩道・堤防に近づかない

津波以外にも、次の危険がある。

● 余震で崖崩れ
● 防波堤の崩壊
● 高波が歩道を飲み込む
● 落石の危険エリア

“海沿いの景観ゾーン”は、災害時には最も危険なゾーンへ変わる。


■⑤ 海を見に戻らない・撮影しない

観光地ほど“見に行きたくなる心理”が働くが、これは命取り。

● 津波は第二波・第三波のほうが高い
● 小さな波が大津波の前触れ
● 海辺は遠く見えても一瞬で戻れない

写真・動画撮影は絶対禁止。
避難が先、記録は後でよい。


■⑥ 避難所の位置を知らなくても、まずは高台へ

観光地は土地勘がないため、避難所がどこか分からないことが多い。
その場合は無理に探さず「高い場所」を最優先する。

● 駐車場の立体構造
● ホテルの上層階
● 山側の階段・公園
● 店舗の避難誘導に従う

“高い場所へ向かう”という行動だけで助かる可能性が大きく上がる。


■⑦ 津波警報が解除されるまで海に近づかない

津波は第一波より第二波・第三波が強いことが多い。

● 最大波は数時間後に来るケース多数
● 警報解除前に戻る人が最も危険
● 海辺は波が反射し、遡上が増幅する

解除までは絶対に近づかない。
観光目的の“海に戻る心理”が悲劇の最大要因になる。


■まとめ|海辺の観光地は“美しさと危険が同居する場所”

海辺は魅力的だが、災害時には危険が凝縮される。

● 揺れたら海から離れる
● 高台・堅牢建物へ最速避難
● 車を使わず徒歩で移動
● 崖・堤防・遊歩道には近づかない
● 海を見に戻らない・撮影しない
● 警報解除まで絶対に戻らない

この行動を徹底するだけで、生存率は飛躍的に高まる。
海の観光地を楽しむためにも、「海辺特有の防災行動」を必ず身につけておきたい。

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