【元消防職員・防災士が解説】防災×川の事故①|“川は海より危険”と言われる理由

川は一見おだやかに見えても、実は海より事故リスクが高い。
毎年多くの水難事故が起きる場所は「海」ではなく「川」。
なぜ川が危険なのか、元消防職員として現場で感じた“本当のリスク”をまとめる。


■① 川の水は“流れている”ため、一瞬で体を奪われる

川は常に流れているため、水に触れた瞬間にバランスを失いやすい。

● 足元だけ強く流れる
● 流速1m/秒で成人も立っていられない
● 表面が穏やかでも水中は速い
● 転んだ瞬間に流心へ吸い込まれる

海と違い、川は“戻る力”が働かないため、流されたら止まらない。


■② 水深が突然変わる“落ち込み”が命取り

川底はフラットではなく、
● 30cm → 2m
● 50cm → 3m
のように“いきなり深くなる”。

子どもが足を滑らせ、そのまま深みに落ちてパニックになる事故が非常に多い。


■③ “渦・反転流”は川独特の致命的な危険

川には目に見えにくい危険が多い。

● ゴウゴウと渦を巻く「えぐれ」
● 岩にぶつかった水が逆流する「反転流」
● 水の流れが集まる場所「流心」

これらに巻き込まれると泳げる大人でも抜け出せない。


■④ 増水した川は“別世界”。近づくだけで危険

雨の翌日や上流の雨で、川は短時間で豹変する。

● 水位10cm上昇=流速は数倍
● 濁りが強い=流木やゴミが混ざる
● 足元が見えない=滑りやすい
● 河川敷が沈む=逃げ場がない

「昨日大丈夫だった」は通用しない。


■⑤ 川遊びの“危険サイン”を必ず覚える

以下のサインがある場所は近づかない。

● 吊り橋・堰の近く
● コンクリ護岸の周辺
● 水が急に冷たい場所
● 表面が静かな“黒い帯”
● 小魚が急にいなくなる

安全に見える川ほど、危険が隠れている。


■⑥ 子どもが川で事故に遭いやすい理由

子どもは体重が軽く流されやすい。

● 足がつくギリギリは最も危険
● 浮き輪は流れで横転しやすい
● 流されると親は追いつけない
● 判断力が未熟でパニックになる

川遊びは“親の1秒の油断”が命を奪う。


■⑦ 川では必ずライフジャケットを着用する

浮き輪より、ライフジャケットが最強。

● ひっくり返らない
● 意識を失っても呼吸を確保
● 大人も必ず着ける
● 子どもは股ベルト必須

消防職員として、現場で助かった人のほとんどはライフジャケットを着用していた。


■⑧ BBQやキャンプと“川の事故”的中率の高さ

川の事故はBBQ・キャンプとセットになりやすい。

● お酒を飲んで川に入ってしまう
● 大人が調理中で子どもを見ていない
● 足元が滑りやすい岩場が多い
● 川沿いの風で体温が奪われる

レジャー中ほど事故率は上がる。


■まとめ|川は“静かに命を奪う場所”。対策すれば安全に楽しめる

川は美しく、癒しのスポットだが、事故が起きれば救助が非常に難しい。

● 水深が突然変わる
● 流れが強い
● 渦・反転流が潜む
● 増水で一変する
● ライフジャケットが命を守る

正しく知れば、川はもっと安全に楽しめる。
あなたと家族の事故リスクを、今日ここでゼロにしてほしい。

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