【元消防職員・防災士が解説】防災×川の事故②|“子どもを守るための親の行動ルール”

川の事故は、子どもが被害者になるケースが最も多い。
その理由は、体力・判断力・視野・バランスなど、あらゆる面で“大人より弱い”からだ。
しかし、正しい知識とルールがあれば、川遊びは安全に楽しめる。

ここでは、元消防職員として「これだけは守ってほしい」という親の行動ルールをまとめる。


■① 子どもを“先に川へ入れない”。準備ができるまで絶対入水させない

川遊びの事故で最も多いのが、
「大人が準備中に子どもが勝手に川に入る」パターン。

● 親がBBQの準備
● 荷物の積み下ろし
● テント設営
この間に子どもは好奇心で川へ向かう。

先に遊ばせない。準備が終わるまで絶対に入れない。
これは命を守るための鉄則。


■② 子どもは“大人の腕の届く範囲”から出さない

川は海より流れが強く、子どもは転べばそのまま流される。

● 水深20〜30cmでも転倒する
● 手を繋いでいても引っ張られる
● 流速1m/秒で大人も耐えられない

子どもは常に腕が届く距離で見守る。
これだけで事故の確率は激減する。


■③ 子どもがいる時は“絶対に目を離さない”

川の事故は「ほんの数秒」で起きる。

● 親がスマホを見た3秒
● 荷物を取りに行った5秒
● 写真を撮るために離れた10秒

その一瞬で、足を滑らせた子どもは深みに落ちる。
川で子どもから目を離す=命を預けてしまうのと同じ。


■④ 浮き輪やビーチボールは“逆に危険”になる

川では浮き輪やビーチボールは頼りにならない。

● 流れに押されて横転する
● シートベルトがないので簡単に落ちる
● 流される速度が速く、大人が追いつけない

川で使うべきは浮き輪ではなくライフジャケット


■⑤ 子どもは必ず“股ベルトつきライフジャケット”

股ベルトがないと、子どもは水中でスポッと抜ける。
これは実際の現場でも何度も起きている。

● 首だけ浮いて危険
● 体が完全に抜け落ちる
● 小柄な子はとくに外れやすい

子ども用ライフジャケットは股ベルトが命を守る部位


■⑥ 危険サインが1つでもあれば“川遊び中止”

次のどれか1つでも当てはまれば中止が正解。

● 前日の雨で増水している
● 水が濁って流木が多い
● 上流に雨雲がある
● 水が急に冷たくなった
● 深い“黒い帯”が見える
● 風が強い
● 川の音(ゴーッ)が大きい

川の状態は毎分変化する。
「今日はやめておこう」と言える親が家族を守る。


■⑦ BBQ・キャンプと“セットで注意すべき行動”

レジャー中は危険が増える。

● 親が料理に夢中
● お酒を飲む
● 子どもが自由行動になる
● 荷物が多くて注意散漫

川遊びとBBQは相性が悪い。
大人1名は必ず“監視係”に専念する。


■⑧ 子どもが流されたら“絶対に飛び込まない”

これは現場の救助で最も伝えたいこと。

子どもを追って大人が飛び込むと
二次被害(大人が溺れる)が最も多い。

● まず「浮くもの」を投げる
● 叫んで周囲の協力を求める
● 119番
● 無理に追わない

大人が飛び込むと、2人とも助からない可能性が高い。


■まとめ|子どもを守るのはルール。川では“家庭の防災マニュアル”が必要

川は楽しい場所だが、油断すれば一瞬で命を奪う。

● 準備中は絶対に入れない
● 目を離さない
● ライフジャケット必須
● 浮き輪は使わない
● 危険サインが1つでもあれば中止
● 流されたら飛び込まない

川遊びは“事前のルール決め”で事故をゼロにできる。
今日、家族のルールを作ってほしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました