【元消防職員・防災士が解説】防災×山の事故①|“初心者が最も誤解しやすい”山の危険ポイント

山は「整備された登山道なら安全」と思われがちだが、実際には川よりも死亡事故が多く、油断が命取りになる。
特に初心者は、道具・体力・判断の3つで大きなミスをしやすい。

ここでは、山での事故が起きる“本当の理由”と、今日から実践できる安全対策をまとめる。


■① 山は「下り」で事故が多い。8割が“下山中に起きている”

実は、山の事故の多くは“登り”ではなく“下り”に集中している。

● 疲労で足が上がらなくなる
● 登頂の安心感で注意が緩む
● ブレーキの筋肉が弱く崩れやすい
● 勾配が急な場所で踏ん張れない

下山は登山の“本番”。
頂上に着くまでが登山ではない。
「安全に帰ること」が最重要。


■② 名前のある“登山道”でも死角だらけ

初心者は「有名な山=安全」と考えがちだが、これは大きな誤解。

● 足元が濡れて滑りやすい
● 崩れた細い道が突然現れる
● 古いロープは簡単に切れる
● 木の根でつまずき転倒
● 獣道と登山道を間違える

整備されていても、山道は常に変化する。
“昨日安全だった場所”が今日も安全とは限らない。


■③ 低山こそ危険。“標高より地形”が事故を決める

「低い山だから大丈夫」という油断が最も危険。

低山の特徴は──
● 傾斜が急
● 岩が多い
● 谷が狭く滑落リスクが高い
● 暑さがこもり熱中症が多発

むしろ、標高300〜800mの“里山”が最も事故率が高い


■④ 天気の急変は数分で起きる。雷・豪雨は逃げ切れない

山の天気は、平地とは別世界。

● 黒い雲
● 急な風
● 霧が出る
● 気温が一気に下がる

これらはすべて“雷・豪雨の前兆”。
特に雷は、尾根・山頂・開けた場所にいると非常に危険。
迷ったらすぐに下山判断へ切り替える。


■⑤ スマホは“圏外”を前提にする。地図アプリに頼りすぎない

山ではスマホ電波が届かない場所が多い。
遭難者の多くが、位置情報の欠落で居場所が分からなくなる。

● 電池切れ
● 圏外
● GPS誤差
● 地図アプリ消失

紙地図・コンパス・携帯バッテリーは必須。
スマホは便利だが、「万能ではない」


■⑥ 山の事故の6割は“準備不足”。道具・水分・防寒が足りない

初心者の事故には、ほぼ共通点がある。

● 服装が軽装(Tシャツ・短パン)
● 飲み物が少ない
● 雨具を持たない
● 靴が街歩き用
● 防寒なし

山は街より気温が10℃以上低い
夏でも低体温症になる。


■⑦ 獣との遭遇は想像以上に危険。クマだけでなくイノシシも脅威

山では動物との距離が近い。

● 子連れのクマ
● イノシシの突進
● ハチ(スズメバチ)
● サルの威嚇

“音を出して歩く”“複数人で行動する”のは命を守る基本。
最強の防御は「遭遇しないこと」。


■⑧ 家族登山は“子どもの体力”を過信しない

子どもは登りでは元気でも、下りで急に限界が来る。

● 集中力が切れる
● 足がもつれる
● 暑さに弱い
● 荷物の重さでバランスを崩す

家族登山は、大人が判断の主導権を持つことが鉄則。


■まとめ|山は「甘く見なければ安全」。知識と準備がすべて

山の事故は、特別な技術がないと登れないから起きるわけではない。
“油断・軽装・判断ミス”の3つが原因。

● 下りこそ危険
● 低山でも事故は多い
● 天候の急変に備える
● スマホに依存しない
● 装備を軽く見ない
● 動物リスクを理解する

山は最高のレジャー場所だが、危険性を理解して初めて“安全な自然”になる。
防災の視点を持って、山を安全に楽しんでほしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました