【元消防職員・防災士が解説】防災×キキクル⑪|“紫(極めて危険)”と“黒”の違いを理解して行動を最適化する

キキクルの「紫(極めて危険)」は、黒の一歩手前。
すでに 重大な災害が起きている、または直前 の段階であり、行動判断を誤ると命を落とすレベルの危険度だ。

紫は「逃げるべき最後のチャンス」。
黒は「もう逃げられない段階」。
この違いを理解しておかないと、致命的な判断ミスにつながる。


■① 紫は“屋外避難がギリギリ可能”、黒は“完全に不可能”

● 紫=避難行動が間に合う“最後のライン”
● 黒=外に出ると命の危険がある

つまり紫表示の時点で
避難所へ向かう/近くの高台へ向かう最後のタイミング

黒になってから動くのは遅い。


■② 紫表示のときは「即避難」が原則

紫=極めて危険。すでに住宅浸水、河川氾濫、土砂崩れ発生が始まっている可能性が高い。

● 家族を呼び集める
● 非常持ち出しを最小限だけ持つ
● 車は原則使わない(渋滞・冠水で動けない)
● 徒歩で最短ルート避難

紫=“即移動”。
迷う時間すら危険。


■③ 車で避難した場合“乗ったまま死ぬ”ケースが非常に多い

紫表示の時点で道路状況はすでに悪化している。

● 冠水でエンジン停止
● 逆流水で出口が塞がれる
● 土砂が道路を埋めて進めない
● 交通集中で渋滞 → 水没

車中で取り残されると、助かる確率が激減する。

徒歩避難が基本。


■④ 夜の紫は“黒と同等レベル”と考える

視界ゼロの夜間は、実質黒と変わらない。

● 水位の確認ができない
● 足元の危険物が見えない
● 土砂・側溝が見えない

夜間の紫は、屋内の高い場所への退避を優先すべき状況。


■⑤ 紫は「発災前後」。黒は「発災の真っただ中」

● 紫=強い雨・増水・土砂の兆候など“前兆が最大化”
● 黒=災害が実際に襲っている

紫の間に逃げないと、黒で命を失う危険が高い。


■⑥ “ここは大丈夫”という思い込みが紫の犠牲を増やす

紫で避難しない理由の多くが「正常性バイアス」。

● まだ大丈夫だろう
● ここは今まで浸水していない
● 様子を見る時間はあるはず

この心理が、毎年の犠牲者の大半を生む。


■⑦ 紫が出たら“持ち物を減らせ”。命の優先順位を変える

紫の時間帯に大きな荷物を持つのは危険。

● バッグ1つ
● 水、スマホ、充電
● ライト
● タオル・雨具

荷物が重いほど逃げるスピードが落ち、「黒」に突入してしまう。


■⑧ 家族が揃っていなくても“安全側に判断”

紫のときに多い相談:

● 子どもが部活でいない
● 夫がまだ帰宅していない
● 高齢の親を迎えに行きたい

結論:
迎えに行かない。先に自分を安全にする。

迎えに行った結果、家族全員が被災する例が後を絶たない。


■⑨ 高齢者・子どもがいる家庭は“紫の1つ前(赤)で動く”

避難に時間がかかる家庭は、紫では遅い。

● 赤(非常に危険の一歩手前)=避難開始
● 紫=避難完了している状態

家族の特性に応じて“1段階早く動く”のが鉄則。


■⑩ まとめ|紫は“ラストチャンス”。黒は“動いてはいけない”

キキクルの危険度は
● 紫=最後に逃げられる段階
● 黒=逃げてはいけない段階

紫を「もう少し様子を見るタイミング」と誤解すると命を落とす。
黒を「避難の合図」と誤解すると外で命を失う。

避難の判断は以下:

● 黄色・赤=準備
● 紫=即避難
● 黒=屋内の最も安全な場所へ

災害は“判断1つ”で生死が分かれる。
キキクルの色の違いを正しく理解することが、最大の防災になる。

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