【元消防職員・防災士が解説】防災×妊婦さん⑧|妊娠中の「避難所生活」で絶対に知っておきたいポイント

妊婦さんにとって避難所は“安全だけど負担が大きい場所”。
人の多さ、衛生環境、音、睡眠、温度管理など、妊娠中の身体には大きなストレスになる。

ここでは 妊婦さんが避難所で安心して過ごすための知識と対策 をまとめる。


■① 妊婦さんは「優先スペース」を使う権利がある

多くの避難所には、妊婦・乳幼児・高齢者向けのスペースが設置される。

● 仕切りがある
● 静かな場所
● 移動しやすい位置
● ベッドやマットが準備されていることも
● 配慮スタッフが巡回する場合もある

遠慮せず、必ず利用する。
“妊婦さんは守られるべき対象”という考えが防災の基本。


■② 長時間の床生活は危険。必ず「段差」を作って休む

避難所の床は硬く、冷たく、妊婦さんの身体には負担になる。

● 段ボールベッド
● 銀マット
● 折りたたみコット
● 掛け布団や毛布を何枚も重ねる

横になる体勢が辛いと、腰痛・むくみ・睡眠不足が悪化する。
妊婦さんは“床から高さを作る”ことが大事。


■③ トイレ問題は妊婦さんに最も負担がかかる

避難所のトイレは「混む・遠い・汚れやすい」。
妊婦さんにとっては深刻なストレス。

● トイレの場所・混雑時間を把握
● 夜間は家族に付き添ってもらう
● 生理用品は多めに持参
● 消臭袋・汚物袋を持っておく
● ウェットティッシュで清潔を保つ

トイレ環境が悪いと、感染症・ストレス・水分制限につながる。
家族のフォローが必須。


■④ 食事は“妊婦さん用に柔らかく・消化しやすく・栄養がとれるもの”を確保

配給食は妊婦向けではないことが多い。

● 温かい食事が少ない
● 炭水化物に偏ることが多い
● 味が濃い場合も
● アレルギー対応不可のこともある

備えておくと安心:

● ゼリー飲料
● パウチ果物
● 玄米おにぎり・米粉パン
● ナッツ・ドライフルーツ
● スープ系(フリーズドライ)

体調に合わせて食べられる食品を自分で持つことが重要。


■⑤ 感染症対策は“妊婦さんだからこそ最優先”

避難所はウイルス・細菌が拡散しやすい環境。

● マスク
● 手指消毒
● ウェットティッシュ
● 人混みを避ける
● 密な場所を避ける

妊婦さんは免疫力が低下しやすく、
感染症は母体にも赤ちゃんにも影響するため、余計に注意が必要。


■⑥ 情報は“家族が取る”。妊婦さんは休息を優先

避難所は情報が錯綜しやすく、
大きな声が飛び交うことで不安が増し、休めなくなる。

家族が必ず担当すること:

● 災害情報の収集
● 配給時間の確認
● 避難所ルールの把握
● 夜間の見守り

妊婦さんは休息と体調管理を最優先に。


■⑦ 不安を抱え込まず、避難所スタッフに必ず相談する

妊婦さんは体調が急変しやすい。
避難所には保健師・看護師・DMATが巡回することも多い。

● お腹の張り
● めまい
● 不正出血
● お腹の痛み
● 赤ちゃんの動きが少ない

これらの症状があれば、すぐに相談。
妊婦さんは“優先的に医療支援を受けられる”場合が多い。


■⑧ 夜間は一人にならないこと

夜の避難所は暗く、静かで、怖さを感じやすい。
妊婦さんは不安が強くなり、休めなくなる。

● 家族が近くに寝る
● トイレは必ず付き添い
● ランタンを手元に置く
● こまめに水分補給

妊婦さんが安心して眠れる環境づくりが不可欠。


■まとめ|避難所では“妊婦さんが優先”。遠慮は不要。

災害時の妊婦さんは、体調も心も非常にデリケート。
だからこそ、避難所では以下を徹底する:

● 優先スペースを必ず利用
● 床に寝ない(段差を作る)
● トイレは家族がサポート
● 栄養がとれる食品を確保
● 感染症対策
● 情報は家族が収集
● 不調はすぐ相談
● 夜間は一人にしない

妊婦さんを守ることは、赤ちゃんの命を守ること。
遠慮せず、必要なサポートを受け取りながら、安心して過ごしてほしい。

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