【元消防職員・防災士が解説】防災×エレベーター|地震・停電・浸水時に命を守るための“正しい行動”

災害時、最も危険になる場所のひとつが“エレベーター”。
地震・停電・浸水・火災など、あらゆる災害の影響を受けやすく、
正しい行動を知らないと閉じ込めや転倒などの事故につながる。

ここでは、エレベーター利用中・利用前・災害後の
“命を守る防災行動”をまとめる。


■エレベーター利用中に地震が起きたらどうする?

エレベーターは震度5弱〜5強の地震で自動停止する。
揺れを感じたら、次の行動が命を守る基本となる。

すべての階のボタンを押す
最初に止まった階で必ず降りる
扉が少しでも開いたら外に出る

停電・二次災害で扉が閉まると、
数時間以上閉じ込められるケースも多い。

“停まったら即降りる”が鉄則。


■地震で停止した場合の危険性

● 閉じ込め(長時間)
● 揺れの余震で転倒
● 二次災害(火災・停電)
● 気温上昇・酸素不足
● 通信不能

特に高層マンションでは、
エレベーター閉じ込めが数百件単位で発生することがある。

内部の緊急ボタンはつながるが、
“救助まで数時間~半日以上”かかることも珍しくない。


■停電時のエレベーターは絶対に使わない

災害直後は次のリスクが高まる。

● 途中で停電し停止
● 扉が開かない
● 通信障害で救助要請が遅れる
● 浸水による感電トラブル

特に台風・大雨時は、 マンション地下が浸水 → エレベーター全停止
というケースが全国で多発している。

「動いているから大丈夫」は禁物。


■エレベーター前で起きやすい“待ちのトラブル”

災害発生後、エレベーター前には行列ができやすい。
しかし、そこは危険地帯にもなり得る。

● 天井材落下
● 照明落下
● ガラス破損
● 人の密集によるパニック

揺れを感じたら、
まず階段の場所へ移動するのが最も安全。


■水害時は「地下にある機械室」が最大の弱点

大雨や台風でエレベーターが壊れる理由の多くは 浸水

● 地下ピットに雨水が流入
● 感電リスクで停止
● 長期故障(修理に数週間〜数ヶ月)
● 居住者が高層階まで徒歩生活を強いられる

特に川沿い・低地・埋め立て地のマンションは、
水害によるエレベーター停止リスクが高い。

在宅避難を前提に、
“水害ハザードマップ+建物の構造”は必ず確認しておく。


■火災時はエレベーターに乗ってはいけない理由

火災時、エレベーターは“煙の通り道”になることがある。

● エレベーターシャフトが煙突のように働く
● 停電で停止・閉じ込め
● 火災感知器で自動的にロビー階に戻る

最悪の場合、煙の多い階に停止してしまい、
逃げ場を失うこともある。

火災時は 階段が唯一の安全ルート


■災害後の“再稼働直後”も危険が残る

地震後にエレベーターがリセットされ、
一時的に動き始めることがある。

しかしその直後は最も危ない。

● 余震で再停止
● 扉が開かない
● 途中階で動作不良
● 電源が不安定

“完全点検後”とアナウンスされるまで使わないのが正しい行動。


■高層マンションの防災では「エレベーター対策が最重要」

高層階に住む家庭ほど、
エレベーター停止は生活に直結する。

● 地震後は階段で避難する心構え
● 飲料・食料・トイレなど在宅避難の充実
● ベビーカー・高齢者・要介護者の移動計画
● スマホ充電計画(非常時は通信不可の可能性あり)

“エレベーターが使えない前提”で防災計画を立てておくと、
災害時のストレスが激減する。


■まとめ|エレベーターは「最も危険な空間になる瞬間がある」

災害時のエレベーターは、普段の安全な乗り物とは別物。

● 揺れたら全階ボタン → 最初に開いた階で降りる
● 停電・火災・浸水の可能性があるときは絶対に使わない
● 余震や災害後の再稼働直後も注意
● 高層マンションは“使えない前提”で準備する

この行動を知っているだけで、
エレベーター災害のリスクは大幅に減らせる。

日常の移動手段を「防災の視点で見直す」ことが、
あなたと家族の命を守る力につながる。

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