【元消防職員・防災士が解説】災害時に“エレベーターに閉じ込められないための防災術”

地震・停電・火災が起きた瞬間、エレベーターは最も危険な空間になる。
実際、阪神淡路・東日本大震災でも多数の閉じ込め事案が発生し、救助は長時間に及んだ。
普段どれだけ便利でも、災害時には「縦の避難路」は一瞬で“閉じられる箱”に変わる。


■地震発生時、エレベーターは“自動停止”する

一定以上の揺れを感知すると、エレベーターは最寄り階で自動停止し、扉が開いたままになる。
しかし揺れの規模によっては、途中階で止まり、閉じ込められることもある。

● 大規模地震では救助まで数時間〜十数時間
● 換気が不十分で不安・パニックを起こしやすい
● 夜間・停電を伴う災害では救助が遅れる傾向

エレベーター内は「安全地帯」ではない。必ず早めに降りる行動が必要だ。


■停電でもエレベーターは止まる

高層マンションほど停電時の影響は深刻。
自家発電があっても“すべてのエレベーターが動くわけではない”。

● 停電 → 自動停止
● 非常用エレベーターのみ最低限稼働
● ただし地震と停電の複合災害では動かない可能性が高い

マンションに住む人ほど「階段での避難」を想定しておく必要がある。


■火災時にエレベーターを使うのは絶対にNG

火災時、エレベーターは煙の通り道になりやすい。
また、火災による停電・熱膨張で扉が開かなくなる事例も報告されている。

● 煙は上階に上がる
● エレベーターは煙を吸い込みやすい構造
● 閉じ込め → 煙吸引 → 重篤事故の可能性

火災時は必ず階段で避難する。


■事前の“3つの備え”が命を守る

① 階段ルートを必ず確認

● 非常階段の位置
● 夜間・停電時の明るさ
● 子ども・高齢者が歩けるかの確認

非常階段は「実際に歩いてみる」が鉄則。


② エレベーター非常ボタンの使い方を覚える

● インターホンで外部と通話できる
● 管理会社・メンテナンス会社につながる
● 恐怖で押せない人が非常に多い

“押すだけでいい”と知っておくだけでパニックが防げる。


③ 防災用ライト・簡易水などを持ち歩く

閉じ込め時に必要なのは、
・明かり
・水分
・スマホのバッテリー
この3つ。

特にスマホのバッテリー確保は命綱になる。


■高層マンションは「エレベーター依存リスク」を前提に生きる

マンションが新しい・耐震性が高い=安全、ではない。
問題は「生活の7割がエレベーター依存」という現代特有の弱点。

● ごみ捨て
● 買い物
● 子どもの送迎
● 通勤

エレベーターが止まれば、日常そのものが成り立たなくなる。
災害のたびに階段を往復する可能性を考えて備えておく必要がある。


■まとめ

エレベーターは便利だが、災害時は“最も危険な空間”の一つ。

● 揺れを感じたら即降りる
● 火災時は絶対に使わない
● 階段ルートを常に確認する
● 持ち歩き防災を習慣にする

これだけで閉じ込めリスクは大幅に減らせる。
日常の移動がそのまま防災につながる形を、今日から整えてほしい。

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