北海道の防災を語る上で避けて通れないのが「広域停電(ブラックアウト)」。
2018年の胆振東部地震では、地域だけでなく“全域停電”という前例のない事態が起き、多くの家庭が暖房停止・断水・通信障害に苦しんだ。
同じことは、明日また起きてもおかしくない。
ここでは、ブラックアウト発生時に家族の命を守るための“現実的な在宅対策”をまとめる。
■① 北海道の停電=暖房停止。まず「寒さ対策」に全振りする
広域停電では、電気暖房・エアコン・ボイラーが止まり、室温は数時間で急低下する。
命に直結するため、優先順位のトップは常に“寒さ対策”。
● 電源不要の石油ストーブ
● カセットガスストーブ
● 厚手の寝袋(冬山仕様)
● 湯たんぽ・カイロ
● カーテン・毛布で窓を覆う
家の気温が10℃を切る前に「暖房の代替手段」を発動することが生死を分ける。
■② 冬の停電で最強の方法は“1部屋集中”。暖気を逃さない
ブラックアウト中は家中を温めようとしても無理。
暖房エネルギーを“1部屋に集約”するのが最も効果的。
● 家族全員で暖房部屋へ集合
● 扉を閉め、使わない部屋は封鎖
● 窓・サッシにアルミマットを貼る
● 隙間風をふさぎ、床にマットを敷く
これだけで室温の低下スピードは大幅に抑えられる。
■③ 水道も止まる可能性。断水想定で“水の確保”が必須
北海道では、停電=断水になる家庭が多い。
特にマンションは給水ポンプ停止で、水が一滴も出なくなることも。
● 水は1人1日3L×7日分
● 風呂は常に“ため湯”にしておく
● 飲料用と生活用水を分けて保管
● 雪は“煮沸しても飲料には不向き”と理解する
● 給水車が来る場合は水容器を常備
“水が出るうちに最大確保”が原則。
■④ 食料は“調理不要”が正義。電気が止まると料理はできない
ブラックアウトでは、IH・電子レンジ・炊飯器がすべて使えない。
火を使わない、または最小限で済む食料を優先的に備える。
● パン・シリアル・ビスケット
● レトルト・缶詰(温め不要タイプ)
● インスタント食品
● ナッツ・チョコなどカロリー補給源
● カセットガスは最低30〜40本
寒いときの食事は“温かいものを1日1回”でも大きな精神安定になる。
■⑤ トイレは“完全に詰まる”恐れあり。簡易トイレは絶対に必須
ブラックアウト時、トイレは思っている以上に問題になる。
● マンション→排水ポンプ停止で“流れない”
● 戸建て→浄化槽タイプは“逆流の危険”
● 水洗式は絶対に無理に流さない
非常用簡易トイレは、1日1人5〜7回分×7日分を備えるのが基本。
■⑥ 情報収集は“命の装備”。通信障害を前提にする
広域停電では基地局も止まるため、通信が不安定になる。
● 防災アプリ
● ラジオ(電池式)
● モバイルバッテリー2〜3台
● ソーラーパネル・手回し充電機
● 車での充電は“換気・一酸化炭素”に注意
“情報がない=行動できない”と思った方がいい。
■⑦ 家族ルールを決めておくと、停電の混乱が半分になる
ブラックアウトでは家族が不安定になりやすい。
事前のルール化が混乱を減らす。
● 暖房部屋の場所
● 懐中電灯・電池の保管場所
● 食料の分配ルール
● 夜間の移動は“1人でしない”
● 高齢者・乳児のケア役を決める
避難所に行くより“家で耐える”ケースが多いため、家庭内の連携が命を守る。
■⑧ 外出は最小限。車は“立ち往生リスク”が高い
広域停電+冬の北海道は、車のトラブルが多発する。
● ガソリンスタンドは営業しない
● 信号機が止まり交通が混乱
● 長時間の車内待機は凍死リスク
どうしても外出が必要なら、徒歩の方が安全なケースも多い。
■まとめ|北海道のブラックアウト対策は“家を冬の避難所に変える”こと
重要なのは次の3つ。
● 電気が止まっても暖房を維持できる
● 水・食料・トイレの備えを7日以上
● 家族が同じ判断をできる状態を作る
北海道の冬の停電は、事前準備がすべて。
「家=避難所」に変える力をつけておけば、どんな災害も乗り越えられる。

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