【元消防職員・防災士が解説】東京で“家族を守るために絶対知っておくべき避難戦略”|昼間の分断・帰宅困難・高層問題…都心特有のリスクとは?

東京で暮らす最大の課題は、
「家族が日中バラバラ」「災害が複合的に起こる」 という点にある。
地震・火災・停電・交通麻痺・通信障害が同時に発生すれば、
家族が合流するのは非常に難しい。

ここでは、東京で必須となる“家族防災の実践方法”を解説する。


■① 昼間の災害は“家族が分断された状態”で起こる

首都圏の大半は
● 親→職場
● 子ども→学校
● 高齢者→自宅
とバラバラに動いている。

この状態で地震が起きると…

● 交通網がストップ
● 電話・LINEがつながらない
● 徒歩帰宅が危険
● 子どもは学校に避難
● 親は職場から動けない

つまり東京では 「自力で家族に会いに行く」が不可能 になる。

【必須のルール】
● お迎え禁止(学校への無用な殺到を避ける)
● 親は原則“職場待機”
● 子どもは“学校待機”
● 夜になっても無理をしない

これが一番安全。


■② 帰宅困難は“ほぼ確実”。徒歩帰宅は命に関わる

東京消防庁は、首都直下地震時に
帰宅困難者が約800万人発生 と想定。

徒歩で帰ろうとすると…

● 5〜10kmは当たり前
● 歩道が大混雑
● 倒壊・落下物の危険
● 夜間は視界ゼロ
● 体力消耗で事故が増える

“帰宅する方が危ない”というのが東京の現実。

【対策】
● 職場に3日分の水・食料
● スニーカー・モバイルバッテリー常備
● 帰宅は必ず“安全確認後”

東京では、
「帰る」ではなく「留まる」が正解。


■③ 家族の集合場所は“3段階”で決める

東京の防災は“多重避難”が基本。

A:第一次集合場所(自宅)
→ 最も基本。帰れる状況なら帰宅。

B:第二次集合場所(近所の公園)
→ 家が危険な時や火災が迫る時。

C:第三次集合場所(遠方の避難所)
→ 火災延焼・断水・建物損傷などで長期避難が必要な時。

どれか1つではなく
「状況に応じて切り替える」 のが東京の防災。


■④ 情報が取れないと“家族がどこへ避難したか”分からなくなる

東京の混乱時には、通信障害が起きやすい。

● 電話→ほぼつながらない
● LINE→遅延
● SNS→誤情報が流れる

【家族で決めるべきこと】
● 災害伝言板(web171)の使い方
● 学校の引き渡し方法
● 自宅の備蓄場所
● 親が倒れた時の連絡先

特に子どもは、
“親と連絡が取れない前提”で行動できることが命綱になる。


■⑤ 高層マンションの家族防災は“下層と別次元”

東京では高層マンションが急増しているが、
家族防災では大きな弱点がある。

● エレベーター停止で上階に戻れない
● 断水でトイレ使用不可
● 物資が届きにくい
● 階段での移動が困難

【必要な備え】
● 1週間分の水・食料
● 簡易トイレ50回以上
● 階段用のスニーカー
● 子どもが自力で上階へ戻れない前提の計画

“住む場所”が防災レベルに大きく影響するのが東京の特徴。


■⑥ 火災は“都市最大の脅威”。避難先の方向が命を左右する

東京は狭い道路・木造密集地域が多く、
地震後は火災が同時多発する可能性がある。

この時に最も危険なのは
火災の方向へ避難してしまうこと。

【家族で共有すべきこと】
● 自宅の周辺で“火災に弱い方向”を把握
● 逃げる方向は2つ以上
● 強風時は延焼スピードが倍以上
● 夜間は炎の影響で光に惑わされる

東京の避難は「どこへ」より
「どこへ逃げてはいけないか」 が重要。


■⑦ 家族が再会できる仕組みこそが“最大の防災”

東京の災害では、
“生き残った後” の行動がとても難しい。

● 親は職場で孤立
● 子どもは学校で待機
● 高齢者は自宅に取り残される
● 情報が断絶する

これを防ぐ最大の武器は
ルール化と事前の準備。

【必須の取り決め】
● 帰らないルール
● 集合場所の優先順位
● 連絡手段の複数化
● 3日分の在宅備蓄
● 職場・学校・自宅の3拠点準備

家族が “迷わず同じ行動を取れる” ことが、
東京で命を守る防災の核心になる。


■まとめ|東京の家族防災は「多拠点×多重避難」が答え

東京は、災害の複雑性が全国トップクラス。
だから家族防災もシンプルではなく
“状況に応じて切り替える力” が求められる。

● 昼間は家族が分断される
● 徒歩帰宅は危険
● 火災が同時多発する
● 高層マンションは断水・閉じ込めリスク
● 地下街・駅は混乱しやすい

その中で最も重要なのは
「家族全員が同じルールで行動できること」。

今日からできる小さな準備が、
首都の大災害から家族を守る大きな力になる。

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