【元消防職員・防災士が解説】東京の“在宅避難”が全国トップレベルで難しい理由|高層・密集・停電…首都ならではの弱点と対策

東京での防災は、他の地域と比べて「在宅避難」が難しい。
耐震性の高い建物が多い一方、高層化・密集化・上下水インフラ依存という大都市特有の条件が、災害時の生活維持を想像以上に困難にする。

ここでは、東京で在宅避難が難しい理由と、実践的な対策をまとめる。


■① タワーマンションの“断水と停電”は致命的

東京にはタワマンが多く、
停電が起きると次の機能が一気に止まる。

● 断水(ポンプ停止)
● トイレ使用不可
● エレベーター停止で外出困難
● 高層階ほど孤立化
● ゴミ出しも不可能
● 電気式ドアロックが開かない場合も

高層階での在宅避難は、
水とトイレの確保が最大の課題

【対策】
● ペットボトル水 × 7日分
● 簡易トイレは50〜100回分
● 階段を使える体力
● モバイルバッテリー複数台

停電したタワマンは、
“巨大な孤立空間”になる。


■② マンション密集エリアは“生活インフラの復旧が遅い”

東京の住宅地は、
マンションや高層ビルが密集している。

そのため、
● 電気復旧が遅れる
● 給水車が入れない
● 道路が狭く消防車が通れない
● 倒木・落下物で生活道路がふさがる
● 車での移動が不可能

在宅避難の継続が難しくなるケースが多い。

【対策】
● 給水ポイントを事前に調べておく
● 自転車を“災害時の移動手段”として準備
● 回覧板など地域情報網を確認

都市型災害では、
“動けないこと”が最大のストレスになる。


■③ コンビニ・スーパーが頼れない:人が殺到し、3時間で空になる

東京は便利だが、その便利さが逆に弱点。

地震後は、
● コンビニの棚が3時間で空
● レジ停止で現金のみ対応
● アプリ決済は通信障害で使えない
● 外出する人が多く危険

「買いに行けば何とかなる」が
東京では通用しない。

【対策】
● ローリングストック徹底
● ガスボンベ20本以上
● 水7日分
● 常温で保存できる主食(米・パン・パスタ)

都市型は“備蓄が命綱”。


■④ ごみ処理が止まると生活が破綻する

停電・道路寸断で
ごみ収集車が来られなくなる。

● 生ごみの腐敗
● 虫・悪臭
● 保管スペース不足
● 咳・アレルギーリスク

マンションでは特に深刻。

【対策】
● 生ごみは冷凍保存
● 防臭袋・圧縮袋を常備
● 災害時用のポリ袋ストック

「ごみ処理」も立派な“防災”。


■⑤ 東京は“情報過多”で動けなくなる人が多い

スマホ・ネット・SNSの情報が一気に流れ、
判断が遅れるケースが非常に多い。

特に首都直下では、
● デマ
● 過剰な不安情報
● 誤った避難呼びかけ
などがX(旧Twitter)を中心に拡散する。

【対策】
● 信頼できるアカウントを3つに絞る
(自治体・消防・気象庁)
● TV・ラジオも必ず持つ
● 迷ったら“早めに逃げる”

東京は情報が多すぎて、
逆に判断が鈍る都市。


■⑥ “帰宅困難者の波”がすべての動きを止める

大地震後には、
300万〜500万人が一斉に歩き始めると予測されている。

● 帰宅者で道路が埋まる
● 救急・消防が通れない
● お店・トイレがパンク
● 在宅避難者も外に出られない
● 雑踏事故のリスク

【対策】
● 仕事先に“職場待機セット”
● 家族ルールは「むやみに動かない」
● 子どもだけの時の行動を決める

東京は“動くことが危険な街”。


■⑦ ご近所づきあいが薄いと“孤立リスク”が高すぎる

東京は単身世帯・核家族が多い。

● 助け合いが成立しにくい
● 連絡が取れない
● 支援の目が届かない
● 孤立死リスクが全国で最も高い

【対策】
● 隣の部屋・上下階の住民と軽く挨拶
● 災害時の声かけルールを作る
● 町会・自治会の情報も登録

都市型災害は
“地域が助け合わないと生存率が下がる”。


■まとめ|東京の在宅避難は“想像の3倍むずかしい”

東京の危険は「地震」そのものではなく、
都市が止まることによって生活が崩壊する点。

● 高層階の断水・停電
● コンビニ依存社会の脆弱性
● 道路の狭さと混雑
● ごみ処理の停止
● 帰宅困難者の増加
● 情報過多で判断が遅れる
● ご近所とのつながりが薄い

だから東京防災は、
“備蓄 × 判断力 × 近所のつながり”
この3つで決まる。

東京で生き残るためには、
地方より“生活スキル型の防災”が欠かせない。

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