【元消防職員・防災士が解説】エレベーター停電・閉じ込めに備える“家族の防災ルール”

地震や停電が起きると、エレベーターは突然止まり、
「閉じ込め」のリスクが一気に高まる。

特にマンション生活では、
“誰がいつ、どのエレベーターに乗っているか”
が分からないことが、捜索や救助を遅らせる原因になる。

そこで今回は、家庭内で必ず決めておきたい
「エレベーター利用ルール」を紹介する。


■① 子ども・高齢者は“極力乗らない”

災害時の閉じ込めで最も不安が大きいのは、
● 小学生〜中学生
● 高齢者
● 障がいのある方

この3つの層。

● 暗所が怖い
● 圏外で連絡が取れない
● パニックになりやすい
● 体力が続かない

これらの理由から、平時でも
「1〜3階は必ず階段」
というルールを作ると安全性が上がる。


■② 地震直後は家族全員“エレベーター禁止”

一番危険なのは地震後の数分〜数時間。

● 余震で再停止
● 扉の故障
● カゴの傾き
● レールの損傷

点検が完了するまでは、
家族全員で“絶対に乗らない”と決めておく。

夜間でも同じ。
揺れが収まり、管理会社が安全確認を出すまで使わない。


■③ 乗る前に必ず「誰が・どこへ」を共有

エレベーター事故では
“どのカゴに乗っていたか分からない”
状態が最も危険。

● マンションに何台あるか
● 南北・A・B棟などの位置
● 何階から何階へ移動しているか

最低でもこの3つは家族で共有する。

例)「東棟の2号機で、5階から1階に降りるよ」

この習慣だけで閉じ込め捜索が劇的に早くなる。


■④ 荷物が多い時は“必ず2人以上”

大きな買い物袋やベビーカーを使う時は、
一人でエレベーターに乗らない。

理由は2つ。

● 閉じ込め時に身動きできない
● 階段避難ができず二次災害につながる

同居家族がいるなら、必ず二人以上で利用する。


■⑤ スマホの充電が少ない時は“階段が正解”

閉じ込め事故で最も怖いのは、

● 圏外
● 電池切れ
● 無通話状態

スマホが使えないこと。

バッテリーが20%を切っているなら、
階段を選ぶのが鉄則。


■⑥ 閉じ込め時は“絶対に脱出しない”

非常に危険なのが、
「隙間から自力で出ようとする」行為。

● 再始動で挟まれる
● 足を滑らせて転落
● 扉の作動不良

これらの事故は発生件数が多く、
消防の現場でも特に注意喚起している。

閉じ込め時は、

● 非常ボタンを押す
● スマホで通報
● 落ち着いて待つ

この3つで命は守られる。


■⑦ 点検完了の掲示を“家族で必ず確認”

マンションの場合、以下の掲示があれば安心。

● 「全台点検完了」
● 「地震後の異常なし」
● 「保守会社○○の確認済み」

掲示なし=まだ不完全
と考えておく方が安全。

家族チャットグループで共有すると、
再稼働を急ぐミスが減る。


■まとめ|“階段を選べる家族”が災害に強い

エレベーターは便利だが、地震国・日本では
“リスクの高い箱”にもなる。

家族の命を守るための鉄則は次の通り。

● 地震直後は絶対に乗らない
● 乗る前に必ず「どこへ・どれに乗るか」を伝える
● スマホ電池が少ない時は使わない
● 閉じ込め時に無理に脱出しない
● 点検完了掲示を必ず確認

階段は疲れるが、災害時は“命をつなぐルート”。
今日から家族ルールに取り入れてほしい。

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