地震だけでなく、建物火災でもエレベーターは大きな危険を伴う。
特に煙が上階へ広がるスピードは想像以上に早く、
エレベーターを使う判断が“致命的な遅れ”につながることがある。
ここでは、火災発生時にエレベーターに乗っている、
または乗ろうとしている場面で絶対に避けるべき行動と、
安全に逃げるためのポイントを解説する。
■① 火災時に“エレベーターで避難”は絶対NG
火災では、煙と熱が縦方向に急上昇する。
エレベーターの昇降路は“煙の通り道”になりやすく、
下記のような危険がある。
● 煙がエレベーター内に流れ込む
● 煙で視界ゼロ・一酸化炭素で意識喪失
● 中間階で停止し閉じ込め
● 火災階へ自動で戻る旧型機も存在
“煙は数呼吸で致命傷”となるため、
火災時にエレベーターは絶対に使わない。
■② 乗っている最中に火災ベルが鳴ったら
もし乗っているときに火災報知器の音がしたら、
以下の行動がベスト。
● 最寄り階で停止したらすぐ降りる
● 開いたら走らず、低姿勢で周囲を確認
● 煙がある方向には絶対に進まない
● 手でドアを閉めない(安全装置が作動しなくなる)
“とにかく早く外へ出る”ことが最優先。
■③ 閉じ込められた場合の行動
火災階付近で停止した場合、内部は非常に危険。
● 非常ボタンで通報
● 「火災発生中である」ことを必ず伝える
● ドアをこじ開けようとしない(煙流入の危険)
● 空気の薄さ・煙の入り込みに注意
救助は火災現場の状況に左右されるため、
指示が来るまで安易に動かない。
■④ エレベーターホールは煙が溜まりやすい
火災では、エレベーターホールや吹き抜けは
煙の“溜まり場”になりやすい。
● ホールに煙が見えたら即引き返す
● 非常階段を利用
● 低姿勢でハンカチ・タオルで口元を覆う
視界がなくても、廊下の壁づたいで進むと迷いにくい。
■⑤ 高齢者・子ども・妊婦は特に危険
煙の吸い込みに弱い人は、火災時のエレベーター付近がもっとも危険。
● スローペースで確実に誘導
● 手をつなぐか、腕を支えて歩行
● 荷物より命を優先(手ぶらでOK)
“早く・安全に階段へ向かう”ことがすべて。
■⑥ 階段を使うときの注意点
エレベーターが使えない場合、階段が唯一の避難ルートになる。
● まず階段の安全を確認
● 上階へ逃げない(煙は上へ)
● 下階が炎上の場合は屋上避難の可能性を検討
● 手すりを使い転倒を防ぐ
● 大勢が殺到するため、声を掛け合う
階段の“分岐”や“非常口の位置”は日頃から要確認。
■⑦ 建物火災時のエレベーターは“命に関わる装置”
火災時、エレベーターは建物の中で最も危険な場所の一つ。
● 煙の通り道
● 熱で制御が故障
● 停電で停止
● 火災階に向かう可能性
「早く逃げたい」心理が利用を促すが、
エレベーター=“助からない選択”になりかねない。
■まとめ|火災時、エレベーターは絶対使わない
火災で命を守るポイントは次の通り。
● 火災時の避難でエレベーターは使わない
● 乗っている最中なら開いた瞬間に降りる
● 煙がある方向には進まない
● 閉じ込められたら非常ボタンで救助要請
● 階段利用を基本に、低姿勢で避難
火災は“煙との戦い”。
少しの判断ミスが命取りになる。
正しい知識を身につければ、
あなたも家族も同じミスを避けることができる。

コメント