全国には築30〜50年を超えるビルが数多く残っており、
これらの建物は災害時に「見えないリスク」を抱えている。
ビル管理者が防災の視点を持たなければ、事故は必ず起きる。
ここでは、古いビルに潜む危険と、その対策をまとめる。
■① 古いビルほど“劣化”が災害リスクを高める
築年数が増えると、建物内部は確実に劣化する。
● 配線の老朽化
● 給排水管の腐食
● 防火設備の作動不良
● コンクリートの剥離
● サビによるシャッター不良
これらは普段は見えないが、地震・火災時には必ず弱点となる。
“動いているように見えても、内部は限界”という建物も多い。
■② 昔の基準=今の災害に耐えられない
古いビルは、当時の建築基準で造られている。
● 旧耐震基準のまま
● 防火区画が不十分
● スプリンクラー未設置
● 排煙設備が劣る
● 非常放送が旧式
災害が激甚化している現代では、旧基準のままでは人命を守れない。
■③ “電気設備トラブル”が火災の引き金になる
古いビルで最も多いのが電気系トラブル。
● コンセントの劣化
● 電気室の湿気
● ケーブルの被膜破損
● ブレーカーの老朽化
● テナントが持ち込む機器の過負荷
地震後は特に“通電火災”の危険が高まるため、
古いビルこそ停電・復旧時の管理が必須。
■④ 古いエレベーターは“止まりやすく、閉じ込めやすい”
ビルの中でも老朽化の影響を強く受けるのがエレベーター。
● 地震で停止しやすい
● かごずれで再開に時間がかかる
● 部品供給が終了している機種も
● 非常通話が旧式でつながりにくい
災害時に“閉じ込め多発ビル”にならないためにも、
エレベーターの更新・部品交換は優先順位が高い。
■⑤ 排煙設備が動かない=避難が不可能になる
古いビルでは排煙窓の故障が頻発する。
● 手動が重すぎて開かない
● 電動が作動しない
● 排煙経路が塞がれている
● テナント改装でダクトが変形
排煙が機能しなければ、火災時に避難階段が“煙の筒”になる。
最悪の場合、短時間で全フロアが使えなくなる。
■⑥ 古いビルほど“テナントによる無許可改装”が多い
老朽ビルでは、テナント改装が原因で防災の弱点が生まれる。
● 防火戸を固定してしまう
● 避難経路を棚で塞ぐ
● スプリンクラーの真下に商品を積む
● 排煙窓の前に大型ポスター
● 通路幅を狭くする什器配置
これらは“建物の防災性能を潰す行為”。
問題を放置するほど、災害時の危険は増大する。
■⑦ 古いビルの防災力を上げる方法
完全に建て替えなくても、できる対策は多い。
● 消防設備の更新
● エレベーターの改修
● LED化で電気負荷を軽減
● テナントに防災マニュアルを義務化
● 防火区画の再確認
● 配管・配線の段階的更新
“少しずつ底上げする”だけで防災力は大きく変わる。
■まとめ|古いビルは“放置した瞬間から危険が増える”
築年数が古いビルほど、防災管理の重要性は上がる。
● 劣化 → 災害で壊れる
● 旧基準 → 現代の災害に耐えない
● 電気系統 → 火災原因になりやすい
● テナント管理 → 放置すれば事故につながる
古いビルの安全性は、管理者の防災意識で決まる。
“問題が見つかったら即改善”が、命を守る最大のポイントだ。

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