【元消防職員・防災士が解説】防災×防災行政無線④|災害時に「行政無線の音が聞こえたら何をする?」行動マニュアル

防災行政無線は、地域の“最後の防災ライン”。
しかし、実際には「音は聞こえたけど内容が分からない」「何をすべきか迷う」という声が多い。
行政無線は“聞こえた瞬間の行動”が命を左右するため、事前の理解が重要になる。

ここでは、行政無線が流れた時に取るべき行動を分かりやすく整理する。


■① とにかく“手を止めて聞く”が基本

行政無線は緊急性の高い情報を流すため、
「何の音?」と思った瞬間に作業の手を止めることが大切。

● 料理の火を止める
● 車の運転中なら安全な場所へ停車
● 工場作業なら一旦機械から離れる

“数秒の遅れ”が逃げ遅れにつながる。


■② 聞き取れなかったら必ず“二次確認”

行政無線の音声は、環境によって聞こえづらくなる。
内容が理解できなければ、必ず補完手段で確認する。

● 自治体アプリの同時配信
● X(旧Twitter)で防災アカウント確認
● コミュニティFM
● 家の屋内受信機のメッセージ再生

「なんとなく危なそう」で終わらせない。
正確な情報を取りに行くのが、防災行動の基本。


■③ 「避難指示」「避難情報」が流れたら即、行動判断へ

行政無線は災害時に以下の情報を放送する。

● 避難指示(警戒レベル4)
● 高齢者等避難(警戒レベル3)
● 土砂災害警戒情報
● 河川氾濫危険情報
● 大津波警報

これらが流れた場合は、迷わず次の行動へ移る。

● 家族へ連絡
● 非常持ち出しを手元に
● 避難ルートの再確認
● 高齢者・子どもの支援手順を準備

“迷っている時間”が一番危険。


■④ 夜間・雨天・停電時は必ず「早めの行動」

行政無線の注意喚起が夜や大雨の中で流れた場合は、
いつも以上に逃げる判断が難しくなる。

だからこそ、行政無線の放送が夜間に流れた時は次を鉄則にする。

● 「様子見をしない」
● 「早めに外へ出て状況を確認」
● 「危険箇所を通らず避難」
● 「家族で一斉に動く」

夜の災害は視界ゼロ。
行政無線は“行動開始の合図”と捉えておく。


■⑤ 気象情報の場合でも“自宅のハザードと照らし合わせる”

行政無線で次のような放送があった場合:

● 大雨警報
● 洪水警報
● 土砂災害警戒情報
● 避難準備

この段階でやるべきことは「自宅のリスク確認」。

● 自分の家の浸水深は何メートル?
● 土砂災害区域に該当する?
● 避難場所まで徒歩何分?
● 車が避難の妨げにならないか?

行政無線は“災害が近い”サイン。
早期判断を下すために、自宅ハザードの把握は欠かせない。


■⑥「試験放送」と「本番放送」の違いを知る

行政無線は定期的に試験放送を行っている。

●「こちらは防災〇〇です。これは試験放送です」
● 正午のチャイム
● 年1〜数回の訓練放送

一方、本番放送は“内容が必ず具体的”。
緊張感をもって聞くべきかどうか、この違いを把握しておくと行動が速くなる。


■⑦ 家族に“行政無線が聞こえたらどうするか”を共有

家族で事前にルール化しておくと、混乱が減る。

● 電話・LINEで即情報共有
● 自宅にいる人が調べて伝える
● 子どもには「止まって聞く」を徹底
● 高齢者には屋内受信機を配置

家族全員が同じ動きを取れることが、最大の防災。


■まとめ|行政無線は“行動のトリガー”。聞こえたらすぐ動く

行政無線の放送は、単なるアナウンスではない。
地域に危険が迫っている“緊急信号”だ。

● 手を止める
● 情報を取りにいく
● 早めに判断
● 家族で連携

この4つが習慣化されているだけで、生存率は大きく上がる。

行政無線を“命を守る合図”として扱い、
日常から行動の準備を整えておこう。

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