防災行政無線は地域の命を守る大切な仕組みだが、
「家の中だと聞こえない」「内容がはっきり分からない」という相談が全国で多い。
行政無線は“聞こえない=命の情報を失う”ことにつながるため、家庭での対策が必須になる。
ここでは、行政無線を確実にキャッチするための現実的な工夫をまとめる。
■①「屋内受信機」を必ず導入する
自治体によっては、行政無線と同じ内容を受信できる“屋内受信機(戸別受信機)”を配布している。
外のスピーカーより聞き取りやすく、自宅のどこにいても放送が届く。
● 高齢者がいる家庭
● 遠くのスピーカー音が届きにくい地域
● 窓を閉めていることが多いマンション
こうした家庭では特に重要。
自治体に相談すれば貸与や補助が受けられる場合もある。
■② アプリ連動で「聞き逃しゼロ」にする
行政無線の内容は、次のアプリで同時配信される地域が多い。
● Yahoo!防災速報
● 自治体公式アプリ
● 位置情報付き緊急通知アプリ
● LINEの自治体チャンネル
スマホは常に持ち歩くため、行政無線と組み合わせることで
“二重で情報を受け取れる”強力な仕組みになる。
■③ 家の中で聞こえやすい「定位置」をつくる
行政無線の音は方向性があるため、家の構造によっては届きにくい場所がある。
● 南向きの窓周辺
● ベランダ
● 車庫周辺
● 二階の開けた窓付近
こうした場所の方が聞き取りやすいことが多い。
家族の中で「放送が聞こえたらここで再確認する」という場所を決めておくと安心。
■④ 生活音にかき消される問題を意識する
行政無線が聞こえにくい原因の多くは“生活音”。
● 換気扇
● TVやエアコン
● 料理中のガス音
● 洗濯機や乾燥機
こうした生活音は意外と大きい。
災害が近い時期(大雨・台風・地震後など)は、家電音量を下げておくのも防災の一つ。
■⑤ 高齢者・子どもがいる家庭は「聞こえる人を決める」
家族全員が行政無線を理解できるとは限らない。
● 子ども:内容の理解が難しい
● 高齢者:音が聞き取りづらい場合がある
● ペットがいて混乱することも
そこで、防災行政無線の放送時は
“誰が内容を確認して家族へ伝えるか”を決めておく。
例:
● パパ→気象・避難情報を確認して配信
● ママ→子どもを連れて避難準備
● 高校生→高齢者の付き添い
役割を決めるだけで混乱が大幅に減る。
■⑥ 聞こえづらい地域は自治体に相談してOK
行政無線は自治体が責任を持って運用しているため、
住民からの「聞こえない」は非常に重要なフィードバックになる。
● スピーカーの向きの調整
● ボリュームの増減
● 新規スピーカーの設置計画
● 戸別受信機の配布対象見直し
実際に改善された事例は全国で多い。
遠慮せず相談することで地域全体の安全につながる。
■⑦ 行政無線の“試験放送日”をカレンダーに登録
毎月の試験放送は「音量」「聞こえ方」をチェックできる貴重な機会。
● 聞こえ方の変化
● 内容の明瞭さ
● 家の位置による聞こえ方比較
● スピーカー方向の季節差(木の葉が茂ると聞こえにくい場合も)
試験放送日をカレンダーに入れ、毎月チェックするだけで聞き逃しが激減する。
■まとめ|行政無線は“聞こえる仕組み”を家族でつくるのが防災
行政無線は地域の命を守る最重要ツールだが、
家庭側の工夫がなければ十分に活かせない。
● 屋内受信機の導入
● 防災アプリとの連動
● 家の聞こえやすい場所を把握
● 聞き取り担当を決める
● 生活音に注意
● 定期チェック
行政無線は「聞こえてから行動」ではなく、
“聞こえる仕組みを作る”ことで初めて機能する。
家族の命を守るために、今日からできる工夫を一つずつ整えていこう。

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