【元消防職員・防災士が解説】飛び火を防ぐ“外壁・屋根”の防災対策|家庭でできる延焼ストップ術

強風下の火災では、火元から離れた住宅でも突然着火する。
その原因が 飛び火(火の粉・熱・火炎片) だ。
特に木造住宅が密集する地域では、外壁・屋根のわずかな隙間から
“内部に火が入る”ケースが後を絶たない。

ここでは、外回りの弱点をなくすための具体的な対策をまとめる。


■① 外壁の劣化は「飛び火侵入ルート」になる

外壁に次のような症状があると、火の粉が入り込みやすい。

● コーキングの劣化・ひび割れ
● 外壁材の浮き
● サッシ周りの隙間
● 木部の腐食

火の粉は小さくても高温。
わずか1センチの隙間からでも侵入し、内部でくすぶり火災を起こす。
「見た目の劣化」が延焼の大きな要因になる。


■② 屋根は“最も飛び火が落ちやすい場所”

火災発生時、上昇気流で舞い上がった火の粉は高確率で屋根に落ちる。

落ちやすいのは以下の構造。

● 古い瓦屋根
● 金属屋根のサビや浮き
● 雨樋に枯れ葉が溜まっている
● 屋根裏の換気口(小さな穴)

特に枯れ葉やホコリは一瞬で着火するため危険だ。


■③ ベランダは“第2の火元”になりやすい

ベランダは火の粉が入り込みやすく、
可燃物が多いとそこから急速に燃え広がる。

● ダンボール
● プラスチック製衣装ケース
● 布団・タオル
● 枯れた植木
● 簡易物置

これらはすべて火の粉の着火源。
ベランダの防災は「可燃物ゼロ」が基本。


■④ 外壁・屋根を守る“5つの延焼対策”

▼① 外壁・屋根の定期点検

10年以上経過している住宅は点検必須。
外壁の割れ・コーキングの劣化は最優先で補修する。

▼② 防火サイディングにリフォーム

外壁を“準不燃材以上”にすると延焼スピードを大幅に抑えられる。
火の粉が当たっても内部に燃え移りにくい。

▼③ 屋根裏換気口に金網(防火仕様)を付ける

火の粉が換気口から侵入し、屋根裏火災になるケースが多い。
耐熱金網で飛び火侵入を防ぐ。

▼④ 雨樋の掃除

枯れ葉は火の粉が落ちると即着火する。
年に2回以上清掃するとリスクが激減する。

▼⑤ ベランダの可燃物ゼロ化

火災時に最も延焼するのがベランダ。
「何も置かない」が最強の防災になる。


■⑤ 外壁の色と防災の関係も“意外と重要”

濃い色の外壁は熱を吸収しやすく、
高温時に熱変形しやすいというデメリットがある。

● 白・薄いグレー → 熱に強い
● 黒・濃紺 → 熱を吸収し内部温度が上がりやすい

必ずしも危険ではないが、防災を重視するなら
“淡い色”のほうが熱に強い家になる。


■⑥ 飛び火は「住宅の外周」が弱点になった時に広がる

外壁や屋根に弱点があると、
火の粉 → 侵入 → くすぶり → 延焼
という流れが一気に進む。

逆に言えば、
「外周の隙間をなくす」
「可燃物を置かない」
だけで延焼確率は大幅に下がる。


■まとめ|飛び火対策は“外回りの点検”がすべて

火災の延焼は、
● 風
● 隙間
● 可燃物
この3つの組み合わせで起きる。

だからこそ、家庭でできる対策はシンプル。

● 外壁・屋根の劣化チェック
● 雨樋の掃除
● ベランダの可燃物ゼロ
● 換気口の防火対策
● 不燃外壁へのリフォーム

“家の外回りを守ること”が、家族の命を守る最強の防災だ。

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