【元消防職員・防災士が解説】災害時の“食物アレルギー対策”は命に直結する|避難所で困らないための準備と行動

災害時は「食べられる物が限られる」「避難所で配られる食事を選べない」など、
食物アレルギーを持つ人にとって非常にリスクが高い環境になる。
平常時の倍以上の注意と、事前準備が命を守る。

ここでは“防災×食物アレルギー”のポイントをわかりやすく解説する。


■① アレルギー持ちは災害に弱い──その理由

災害時は以下のような状況が発生しやすい。

● 食事の原材料表示がない
● 炊き出しにアレルギー対応がない
● 食べ物を選べない(選択肢が少ない)
● 調理器具の使い回しで“微量混入”のリスク
● 受診まで時間がかかる
● ストレスでアレルギー反応が重くなることも

「普段は避けられる食品」が突然身近になるため、
事前準備がないと危険が一気に高まる。


■② 最優先で準備すべき“自分専用の食べ物”

アレルギー対応食は、自分で確保するのが鉄則。

● アレルギー対応のレトルト
● アレルギー対応のパン・クッキー
● 栄養補助食品
● 口に合う主食(アルファ米・パックご飯など)
● 常用薬・整腸剤
● 水(3日分以上)

特に食品は「最低3日分」、できれば「1週間分」が安心。


■③ エピペン使用者は“持ち出し袋2つ”が安全

アナフィラキシーの可能性がある人は、
エピペンを分けて保管するのが事故防止につながる。

● 自宅の玄関付近
● 外出用バッグ

災害時は急に荷物を取りに戻れないため、
“1つを失ってもいい状態”をつくる。


■④ 避難所での食事は“必ず伝えて確認する”

避難所では多くの人が調理するため、
アレルギー食材の混入リスクが想像以上に高い。

● 受付でアレルギーがあることを伝える
● 配られた食料は成分を必ず確認
● 不明な炊き出しは食べない
● スタッフに必ず声かけ

自治体によっては“アレルギー対応食のストック”があるが、
全ての避難所で期待できるわけではない。


■⑤ 配給が不足したときの“代替術”

配給食で食べられないものがあった場合は…

● 持参したアレルギー対応食に切り替える
● 自分の食べられる範囲で主食だけでも確保
● 周囲に丁寧に事情を説明すれば協力してくれる場合も

「食べられない=命に関わる」ので遠慮する必要はない。


■⑥ アレルギー事故が起きたときの応急処置

アナフィラキシーの症状が出たら即行動。

● 全身のじんましん
● 口・のどの違和感
● 呼吸が苦しい
● めまい
● 意識がぼんやり

対処は以下の順番で。

① エピペンを使う
② すぐに119番
③ 横を向いて安静保持
④ 情報を周囲に共有

災害時は救急が遅れる可能性があるため、
“早め早めの対応”が命を守る。


■⑦ 子どものアレルギーは“大人が守る”

避難所では子どもが食べ物を交換したり、
周囲の大人が好意で食べ物を持たせることもある。

● 子どもには「知らない食べ物は食べない」を徹底
● 保護者は周囲にアレルギー情報を共有
● 名札・バッジで分かりやすく伝えるのも有効

大人の一言が事故を防ぐ。


■まとめ|アレルギー対策は“準備こそ命綱”

災害時、アレルギー持ちが安心できる環境は自動的には保証されない。

● 自分専用の食料を備蓄
● エピペンは2カ所に分ける
● 避難所で“必ず”伝える
● 迷ったら食べない
● 緊急時は迷わず応急処置

食物アレルギー対策は、防災の中でも最重要の命の備え。
今日準備することで、災害時の不安は大きく減らせる。

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