アナフィラキシーショックは、早ければ数分で命に関わる非常に危険な反応。
そして地震・豪雨・停電などの災害時は、救急車が遅れたり医療機関が機能しない場合も多く、普段よりリスクが格段に高くなる。
特に 子どもは発症を言葉で説明できない・自分で対処できない ため、大人の事前準備が絶対に必要。
この記事では、子どものアナフィラキシーを災害時に守るための「家庭・学校・地域」の実践対策をまとめる。
■① 子ども用“アレルギーカード”を必ず作っておく
子どもは災害時の混乱の中で、自分の症状を周囲に伝えられないことが多い。
だからこそ、 アレルギー情報をカード化して常に携帯させる のが基本。
カードに書くべき内容は以下。
● 何のアレルギーか(卵、乳、小麦、ナッツ、エビ等)
● 過去の症状・発症スピード
● エピペンの有無
● かかりつけ医
● 家族の連絡先
● 注意してほしい行動(誤食、昆虫刺傷など)
ランドセル、通学バッグ、避難ポーチに必ず入れておく。
■② 学校・保育園・習い事にエピペン情報を徹底共有
災害は学校で発生する可能性が高い。
そのため 教職員が「子どもにエピペンが必要か」を即判断できる体制が命を左右する。
最低限共有すべきこと:
● どこにエピペンを入れているか
● 教室・体育館・校庭のどこでも使えるよう動線確認
● 代理注射をしていいかどうか(医療行為ではないため使用可能)
● 救急要請の手順
● 保護者の緊急連絡先
“災害時対応マニュアルにアレルギー項目を入れてもらう”ことも大きな助けになる。
■③ 避難所では「食品の安全確認」が最重要
避難所の食事は、成分表示がなかったり、混在した鍋料理が多く、アレルギー持ちの子には非常に危険。
そのため 避難所食を“食べさせない勇気”も必要。
家庭で準備しておくべきは以下:
● アレルギー対応レトルト(米、カレー、パン)
● アレルゲン不使用クッキー
● 成分表示付きの食べ慣れた食品
● 水・ゼリー・フルーツ缶など即食できる物
● 電気なしでも食べられる食品
最低でも“3〜5日分”、理想は1週間分の備蓄を。
■④ 子ども自身にも「危険回避の習慣」を教える
災害時は親がそばにいないこともある。
幼児〜小学生でも、できる範囲で「自分の命を守る行動」を教えると、生存率が大きく上がる。
● 食べ物を“勝手に食べない”
● 誰かに食べ物をもらったら必ず大人に見せる
● 唇が腫れたらすぐ先生に言う
● 虫には近づかない
● 体調が変だと思ったらすぐ大人を呼ぶ
“日常の繰り返し”が災害時の判断力になる。
■⑤ 家族で「発症時の動き」を統一しておく
災害の混乱時ほど、家族それぞれがバラバラに動くと危険。
だからこそ、アナフィラキシー発症時の行動を“家庭全体で統一する”ことが大切。
● 誰がエピペンを取り出す?
● 誰が救急要請する?
● 打った後はどこで安静を保つ?
● 避難所にいる場合はどこに移動する?
● 近隣住民にも情報共有しておく?
紙に書いて冷蔵庫や玄関に貼っておくと、いざという時に役立つ。
■⑥ エピペンの“使用練習”を家族で習慣化する
大人でも災害の恐怖で手が震える。
だからこそ 普段から“使用手順を体が覚える”練習が不可欠。
定期的に確認するポイント:
● キャップを外す
● 太ももの外側へ押し当てる
● 10秒固定
● 使用後は救急要請
● 使用済みエピペン袋への収納
家族・学校・地域の大人が“誰でも使える状態にする”ことが命を守る鍵。
■⑦ 食材・虫刺され・空気環境の“トリガー対策”を徹底
子どものアナフィラキシーは、食べ物だけが原因ではない。
● スズメバチ・アブなど昆虫刺し
● ダニ・カビ・ホコリ
● 温度変化
● 運動後の発汗
● ストレス・疲労
災害時はこれらのリスクが普段の数倍に上昇するため、避難所では:
● 虫除けの使用
● こまめな着替え
● ダニ対策シート
● マスクの予備
● 清潔な寝具の確保
こうした“小さな環境管理”が大きな事故を防ぐ。
■まとめ|子どもを守る鍵は「大人の事前準備」
アナフィラキシーは“災害時に最も危険が増す疾患”のひとつ。
だからこそ、今日からできる準備が命を救う。
● カード・エピペンは常に持たせる
● 学校・地域と共有
● アレルギー対応食を自宅で備蓄
● 家族で行動手順を決める
● 子ども自身の習慣づけ
● トリガー環境の管理
災害は待ってくれない。
日常の積み重ねが、子どもの未来を確実に守る力になる。

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