地震対策としてよく聞く「耐震」「免震」。
どちらも揺れに強くする工法だが、仕組みも効果も大きく違う。
自宅の状況や予算によって、最適な選択は変わる。
ここでは、家庭向けに“耐震と免震の違い”を分かりやすく整理し、
どんな家にどの工法が合うのかをまとめる。
■①「耐震」は“倒れない家”をつくる工法
耐震とは、建物の“強さ”を上げる考え方。
● 壁を強くする（耐力壁）
● 金物で柱と梁の接合を補強
● 基礎を固める
● 屋根を軽くする
地震の揺れに“耐える”ことが目的で、
日本の一般住宅の耐震化ではもっとも広く採用されている。
【メリット】
● 比較的コストが低い
● 既存住宅でも対応しやすい
● 工期も短め
【デメリット】
● 家は揺れる（被害は抑えられるが、揺れ自体は減らない）
● 家具転倒などの対策は別に必要
■②「免震」は“揺れを建物に伝えない家”をつくる工法
免震は、地震の揺れそのものを建物に伝えない仕組み。
● 建物と地面の間に「免震装置」を設置
● 揺れを吸収し、建物はゆっくり動く
● 上階ほど効果が大きい
超高層マンションや大規模建物でも採用される技術で、
住宅でも選べば大きな効果を得られる。
【メリット】
● 揺れが大幅に低減（1/2〜1/4になることも）
● 家具転倒も激減
● 室内被害が圧倒的に少ない
【デメリット】
● コストが高い（数百万円規模）
● 地盤条件で制限を受ける
● 既存住宅は工事が難しい
■③ 耐震と免震の違いを“たった一言”で言うなら？
● 耐震：家そのものを強くして 揺れに耐える
● 免震：家に揺れを伝えず そもそも揺れさせない
どちらも地震対策として有効だが、
目的が違うため選ぶポイントも変わってくる。
■④ 既存住宅は「耐震」＋「制震」の組み合わせが現実的
免震は新築向けで、既存住宅には工事が困難。
そのため、一般的には次の組み合わせが最強となる。
● “耐震補強”で建物を強くする
● “制震ダンパー”で揺れを吸収する
費用を抑えつつ耐震性を底上げできる。
■⑤ それぞれの工法が向いている家・人は？
●耐震が向いている人
● 築20〜40年以上の木造住宅
● 予算をなるべく抑えたい
● 工期を短くしたい
● 今の家に長く住む予定がある
●免震が向いている人
● 新築を建てるタイミング
● 家具・家財の損害を最小化したい
● 大地震を想定した最高レベルの防災がしたい
● マンション上層階に住む予定
■⑥ 家庭で忘れてはいけないのは「建物以外の対策」
どれだけ建物が強くても、
家の中の安全対策を怠れば意味がない。
● 家具転倒防止
● 収納の耐震
● ガラス飛散防止フィルム
● 非常灯・ランタンの準備
● 在宅避難の備蓄
建物の耐震化と“室内の安全”はセットで考える。
■⑦ まとめ｜家庭の地震対策は「最適な組み合わせ」が答え
● コスト重視 → 耐震補強＋家具固定
● 室内被害も最小化 → 耐震＋制震
● 新築で最高レベル → 免震住宅
地震は必ず来るが、対策すれば被害は確実に減らせる。
家族の命と生活を守るために、
できるところから一つずつ進めてほしい。
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