【元消防職員・防災士が解説】免震構造とは?地震エネルギーを“そもそも建物に伝えない”最強レベルの地震対策

地震に強い家づくりを考えるとき、よく比較されるのが「耐震」と「免震」。
耐震が“建物そのものを強くする”のに対し、免震は“揺れを建物に伝えない”という全く別のアプローチを取る。

ここでは、免震構造の仕組み・メリット・注意点をわかりやすくまとめる。


■① 免震構造とは?建物の下で揺れを吸収する仕組み

免震構造は、建物と地面の間に「免震装置」を入れて、地震動を吸収・分散させる方式。

● ゴムと鋼板を重ねた積層ゴム
● 滑り支承(すべり装置)
● ダンパー(オイル・鉛など)

これらが地震の揺れを“水平に逃がす”ことで、建物内部の揺れを大幅に減らせる。

結果として、家具転倒や壁の破損などが大きく軽減される。


■② 揺れを最大80%以上カット。室内被害が圧倒的に少ない

免震構造が優れている最大の理由は、「室内の安全性」が桁違いに高いこと。

● 家具転倒が起こりにくい
● 家電落下・食器棚崩壊が起きにくい
● 室内での負傷リスクが激減

耐震と比べても、揺れの少なさは圧倒的。
高層マンションや災害拠点施設で採用されるのもこのため。


■③ 免震は“建物が倒れにくい”だけでなく“生活被害が少ない”

耐震等級3でも建物は強いが、中身(室内)は大きく揺れることがある。
免震はそこを根本から解決する。

● 地震翌日からそのまま生活できる可能性が高い
● 家財の損害が少ない
● 子ども・高齢者がいる家庭に特に安心

「命を守る」だけでなく「生活を守る」点で最強レベル。


■④ 免震構造の注意点(デメリット)

メリットが多い免震にも弱点や注意点はある。

● 初期費用が高め(耐震より+10〜20%)
● 軟弱地盤では採用が難しい
● 津波・液状化には別対策が必要
● メンテナンスが必要
● 地震後に装置の点検が必須

万能ではないが、地震に対しては非常に強力。


■⑤ 免震住宅を選ぶときのポイント

免震を選ぶときは、下記の確認が不可欠。

● 免震装置の種類とメーカー
● 免震ピット(装置スペース)の大きさ
● 地盤調査結果
● 配置されているダンパーの数と位置
● アフター点検の体制

「免震してます」という一言だけでは判断できない。


■⑥ 免震+耐震の“ハイブリッド型”が急増中

最近は、免震だけでなく耐震性も強化した“複合型”も登場している。

● 大地震でも揺れを逃がす
● 想定外の揺れにも構造体が耐える
● 補修費が最小化

住まいのバックアップとして非常に強力な選択肢。


■⑦ マンションは免震の価値が特に高い

高層マンションの場合、揺れが増幅されやすい。
そのため、免震構造は大きなメリットとなる。

● 長周期地震動に強い
● 高層階でも家具転倒が起きにくい
● 停電・断水時の混乱も減る

中古マンションを選ぶときも「免震構造」は重要な判断ポイント。


■⑧ まとめ|室内の安全を最優先するなら“免震”が最強

● 地震の揺れそのものを建物に伝えない
● 室内被害が激減
● 生活再建が圧倒的に早い
● 初期費用は上がるが価値は非常に高い

耐震等級3も強力だが、
「子ども・高齢者がいる家庭」
「地震後も生活を止めたくない人」
「家財の損害を最小限にしたい人」

こうした家庭にとって、免震構造は最も効果の高い防災対策だ。

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