【元消防職員・防災士が解説】非常食は「賞味期限より“美味しさ”が最優先」な理由|災害時に必要なのは“心のエネルギー”

非常食を買うとき、多くの人がまず気にするのは「賞味期限の長さ」。
しかし、被災地で数多くの現場を経験した立場から断言します。

非常食は、賞味期限より“美味しさを優先する”方が圧倒的に生存率が上がる。

その理由は、災害時に人が必要とするのは「カロリー」だけでなく、
心のエネルギー=メンタルの回復力
だからです。

ここでは、なぜ美味しさが防災力を左右するのか解説します。


■ 美味しい非常食は「食べられる」

当たり前のようで最重要ポイント。

どれだけ賞味期限が長くても、
美味しくなければ食べられない。

実際に避難所では、

  • アルファ米が苦手で食べられない
  • 油っぽい物が受け付けない
  • 子どもが全く口にしない
    というケースが大量に発生。

その結果、
栄養不足 → 疲労 → 判断力低下 → 行動が遅れる
という悪い循環に陥ります。

美味しい非常食は、このリスクをゼロにします。


■ 美味しい非常食は「心の疲労」を回復する

災害時は、

  • 眠れない
  • 緊張状態が続く
  • 将来への不安
  • 片付けの疲れ
    など、メンタルに大きな負荷がかかります。

そんなとき、
美味しいものは、一瞬で心を回復させる“心理ケア”になる。

現場でも、
「美味しいパンが食べられた」
「甘いものを口にしたら落ち着いた」
という声が本当に多いです。

これは、食事が持つ“心理的安全性”の力です。


■ 美味しい非常食は「子どもと高齢者」を救う

災害時に最も食事で困るのは、
子ども・高齢者・妊婦さんです。

美味しさはそのまま「食べる意欲」につながり、

  • 子どもが笑顔になる
  • 高齢者が食べて力が戻る
  • 食べないリスクが減る
    という大きな効果があります。

賞味期限が長いだけの食品では、この効果は得られません。


■ 美味しい非常食は「ストレスからくる胃の不調」を抑える

災害時の胃腸は弱っています。
美味しいもの、普段食べ慣れた味は、胃の負担が少なく消化しやすい。

一方、味の薄い非常食や慣れない味は、
逆に気持ち悪さを感じることもあります。

“普段食べて美味しい”は災害時に最大の安心材料。


■ 防災士が推す「美味しさ優先」の非常食

特に評価が高く、避難所でも人気だったものをご紹介。

● 尾西食品 アルファ米(ドライカレー・チキンライス)
● えいようかん(甘くて食べやすい)
● パンの缶詰(チョコ・メープルなどの甘味系)
● カレーめし(湯だけで作れる・味が濃くて元気が出る)
● レトルトカレー(普段から好きな味を)

中でも「パンの缶詰」は子どもに絶大な人気で、
避難所の雰囲気が一気に明るくなるほど効果があります。


■ 賞味期限は“最低3年”で十分

賞味期限は、

  • 最低3年
  • できれば5年
    あればOK。

それより重要なのは、
普段から食べて美味しいと感じること。


■ 結論:非常食は“心のエネルギー”を満たす物を選ぶ

災害は体力よりも、心の疲れの方が人を追い詰めます。

だからこそ、
「美味しい」=「生き抜く力」

迷ったら、
● 普段から好きな味
● 子どもが食べられる物
● 食べると元気が出る物

これを基準にしてください。

美味しい非常食は、被災したあなたの心を確実に支えてくれます。

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