【防災士が解説】防災×歯医者⑥|避難所で“歯が痛くなる人”が続出する理由とその対策

避難所生活では「災害時に歯が急に痛み出した」という相談がとても多い。
実はこれは偶然ではなく、災害時特有の環境とストレスが重なった結果として起こる“典型的な災害関連症状”だ。

ここでは、避難所で歯の痛みが増える理由と、できる限り痛みを抑える方法をまとめる。


■避難所で歯が痛くなる“4つの大きな理由”

◎① ストレスによる食いしばり・歯ぎしり

災害時は、緊張・不安・睡眠不足が続き、無意識のうちに歯を食いしばる人が増える。

● 頭痛
● 顎のだるさ
● 歯の痛み
● 歯茎の痛み

ストレスが大きいほど悪化しやすい。


◎② 冷たい空気・乾燥で知覚過敏が悪化

避難所は暖房不足や乾燥が起こりやすい。
その結果、歯の表面が敏感になって痛みやすくなる。

● 歯の根元がキシキシ痛む
● 冷たい水や空気でしみる

知覚過敏は避難生活と相性が悪い。


◎③ 歯磨き不足による炎症

災害直後の生活は不規則となり、歯磨きの回数が減る。

● 歯茎の腫れ
● 噛むと痛い
● 口内炎の増加

衛生環境が悪いほど痛みは悪化する。


◎④ 持病(虫歯・歯周病)の急激な悪化

普段は気にならなかった軽度の虫歯や歯周病が、避難所の環境で一気に痛み出すことがある。

● 冷たい物でズキッ
● 夜になると痛みが強くなる
● じんじん脈打つ痛み

避難生活のストレスで進行が早まるのが特徴。


■水が少なくてもできる“応急的な歯痛ケア”

◎① 痛い部分を冷やす

● 頬の外側を冷やす
● 氷を直接歯に当てない

血流を抑えることで痛みが軽減する。


◎② 食いしばり防止の“タオルくわえ”

就寝時に特に効果的。

● タオルや衣類を軽く噛む
● 顎の負担を減らす

避難所では簡単に実践できる。


◎③ 知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使う

● シュミテクト
● クリニカNEXT 知覚過敏ケア

痛みを和らげる成分が役に立つ。


◎④ やわらかい食品を中心に食べる

痛い歯に刺激を与えないようにするだけで痛みは大幅に軽減。

● おかゆ
● スープ
● 柔らかいパン

避難所の食事でも工夫できる。


■避難所で“絶対にやってはいけないこと”

● 痛い部分を舌や指で触り続ける
● 同じ場所で偏って噛む
● 熱い飲み物で温める
● 市販薬を大量に飲む

誤った行動は痛みを悪化させる。


■非常持ち出し袋に入れておきたい“歯痛対策アイテム”

● 知覚過敏用歯磨き粉
● 歯ブラシ
● マウスウォッシュ
● 鎮痛薬(ロキソニン・イブ)
● 義歯ケア用品(義歯の方)

軽くて場所を取らないため、必ず入れておくべき。


■まとめ|歯の痛みは“避難生活の大敵”

歯の痛みは睡眠・食事・行動をすべて奪う。
避難所生活では、想像以上に心身へのダメージが大きくなる。

● ストレス
● 乾燥
● 歯磨き不足
● 持病の悪化

この4つが揃う避難生活では、歯痛は「災害関連症状」として誰にでも起こりうる。

だからこそ、普段からの歯科通院と、災害時の最低限のケアが命を守る行動につながる。

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