災害が起きて避難所生活が始まると、薬に関するトラブルは必ず発生する。
薬が足りない、飲み忘れる、紛失する、劣化する──これらは健康悪化の大きな原因になる。
今回は、避難所で必ず役立つ「薬の正しい扱い方」と、薬剤師のサポートが必要な理由をまとめる。
■① 薬は“温度・湿気”で劣化する
避難所では空調が効かず、薬が通常より早く劣化する。
● 直射日光を避ける
● 高温の場所に置かない
● 湿気が多い場所はNG
● インスリン・点眼薬は冷却が必要な場合あり
薬はデリケート。保管場所1つで効き目が落ちる。
■② 薬の「種類ごとの注意点」を知っておく
避難所では、次の薬が特にトラブルになりやすい。
● 錠剤・カプセル:湿気で崩れやすい
● 湿布薬:剥がれやすい・紛失しやすい
● 粉薬:こぼれやすいため予備袋を
● インスリン:高温で変質する
● 点眼薬:開封後は期間管理が重要
薬ごとに守るべきポイントが違うため、把握しておくと安心。
■③ 飲み忘れを防ぐ“簡易スケジュール法”
避難所生活になると、生活リズムが崩れやすい。
● 服薬タイミングをスマホのアラームで設定
● ピルケースで1日分ごとに分ける
● 服薬記録をメモ帳に書く
● 家族にも「いつ飲むか」を共有しておく
混乱の中でも、薬だけは“いつも通り”が命を守る。
■④ 持ち運びの基本は「防水+ジッパー袋」
避難所では、薬を失くす・濡らす事故が多い。
● ジッパー袋にまとめて保管
● 名前と服薬回数を書いたメモを入れる
● 重要薬(心臓・血圧・喘息)は別袋に分ける
濡れや紛失を防ぐだけで、災害時の安心感が大きく変わる。
■⑤ 体調が悪化した時こそ、薬剤師に相談
避難所では次の症状が出やすい。
● 頭痛・腹痛
● アレルギー症状
● 便秘・下痢
● 不眠
● 高血圧の悪化
● 持病の急変
薬剤師は “市販薬で補えるか、医療が必要か” の判断も手伝ってくれる。
■⑥ 薬剤師がいる避難所は“健康被害が激減”する
薬剤師の存在は避難所で大きな価値がある。
● 持病薬の管理
● 薬の振り分け(トリアージ)
● 高齢者の飲み忘れ防止
● こどもの薬の量・回数の指導
● アレルギーの把握
● 服薬のチェック
専門家が関わるだけで、医療トラブルが一気に減る。
■⑦ 医療が届くまでの“つなぎ役”として最重要
災害時は医療スタッフが不足することも多い。
薬剤師は次の役割を持つ。
● 医師の診察までの応急的ケア
● 限られた薬で最適な組み合わせを選ぶ
● 薬のリスク(副作用)を管理
● 薬を公平に配布する仕組み作り
薬剤師の判断が、避難所の健康維持を支えている。
■⑧ 家族に薬を飲む人がいる家庭は“避難バッグに1セット”
避難所で最も困るのが「薬を置いてきた」問題。
● 7〜14日分の薬
● お薬手帳
● 医師の指示書(可能なら)
● 常備薬
● ピルケース
このセットを入れておくと、避難直後の不安が大きく減る。
■⑨ 心のケアも薬剤師の専門性で支えられる
災害時は精神的ストレスが強い。
● 睡眠不足
● 食欲不振
● 不安症状
● 頭痛・肩こり
薬剤師は “薬以外の対処法” や “セルフケア” も教えてくれる。
■⑩ まとめ|避難所の薬管理は“準備×知識×相談”
災害時、薬のトラブルは命に直結する。
だからこそ、避難所での薬管理は次の3つが鍵になる。
● 温度・湿気から守る
● 飲み忘れ防止を仕組み化する
● 心配な時は薬剤師にすぐ相談
薬を理解し、正しく扱えるだけで、避難生活の安心感は圧倒的に変わる。

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