【防災士が解説】防災×看護師|被災地で“最も人に寄り添う”医療専門職の力

災害時、医療現場の負担は一気に爆発する。
その最前線で、けが人・高齢者・要配慮者・子ども・妊婦など、最も多様な人に寄り添い続けるのが看護師。

看護師は、災害時の医療・避難所運営・心のケアを支える“縁の下の力持ち”だ。

ここでは、災害時に看護師が果たす役割と、看護師だからこそできる支援をまとめる。


■① トリアージ補助と初期評価のスピードが命を救う

災害医療で重要なのは「迅速な評価」。
看護師は患者の状態を瞬時に把握し、医師判断をサポートする。

● バイタル測定
● 意識レベルチェック(JCS・GCS)
● 外傷の観察
● トリアージタグの装着補助

多数傷病者が押し寄せる災害現場では、看護師の判断が治療の優先度を決める要となる。


■② 在宅患者・要配慮者を守る“生活支援のプロ”

災害時に最も弱い立場に置かれるのは、生活に医療が必要な人たち。

● 在宅酸素利用者
● 透析患者
● 認知症高齢者
● 障がい者
● 介護が必要な人

看護師は、生活の中の異変に気づく力が高く、避難中も継続ケアができる貴重な存在。


■③ 避難所で必ず必要になる“健康管理”

避難所生活で起きやすい体調トラブルを、最前線で防ぐのも看護師。

● 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
● 衛生不良からの皮膚トラブル
● 体力低下・脱水
● 子どもの発熱・嘔吐
● 高齢者の持病の悪化

看護師が定期巡回するだけで、避難所全体の健康状態が大きく改善する。


■④ 感染症の“最初の気づき手”は看護師

避難所では感染症が広がりやすく、初期発見が非常に重要。

● インフルエンザ
● ノロウイルス
● COVID-19
● 食中毒

「なんかいつもと違う」を察知するのは、看護師の観察力があってこそ。


■⑤ メンタルケアは看護師が最も得意とする領域

被災直後、住民は強い不安を抱え、心のケアが不可欠。

● 不眠・食欲低下
● 子どもの夜泣き・情緒不安
● 不安・焦燥
● 身体症状として現れるストレス反応

看護師の「傾聴」や「寄り添い」が、被災者の安心に直結する。


■⑥ 医療チームの調整役としての存在

災害現場は混乱する。
その中で医師・保健師・薬剤師・行政との橋渡しができるのは看護師。

● 情報整理
● 患者の状態変化の共有
● 医療物資の管理
● 他職種との連携

看護師の調整力がチーム医療を成立させる。


■⑦ 看護師が災害時に備えておくべき個人装備

看護師自身が被災しないための準備も必要。

● ヘッドライト
● モバイルバッテリー
● 小型救急セット
● 筆記用具(油性ペン)
● 手袋・マスク
● 水・軽食

これらがあるだけで、初動の活動が大きく変わる。


■⑧ 平時から地域の防災力を底上げできる存在

看護師は教育・支援のプロでもある。

● 地域住民への応急手当講習
● 高齢者施設での防災指導
● 避難所運営訓練
● 在宅患者支援ネットワークの構築

看護師が地域に関わることで、災害弱者を守る力が高まる。


■まとめ|看護師は“災害時の命を支える生活医療の専門家”

災害時、看護師が担う役割は次の通り。

● 初期評価とトリアージ補助
● 在宅患者・要配慮者のケア
● 避難所の健康・衛生管理
● 感染症の早期発見
● メンタルケア
● 医療チームの調整
● 地域防災の底上げ

看護師は、災害医療だけでなく“被災者の生活そのもの”を支える存在。
看護の力は、防災における欠かせない柱となる。

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