災害が起きたとき、最も影響を受けやすいのが「高齢者」「障がいのある方」「介護が必要な方」。
その支援の中心となるのが“介護福祉士”だ。
避難所の混乱時でも、要配慮者の命と尊厳を守る専門職として欠かせない。
ここでは、災害時に介護福祉士が果たす役割と、被災者の生活を守るためのポイントをまとめる。
■① 高齢者・要介護者の“安全確保”を最優先で行う
災害時、要介護者は自力で避難できない場合が多い。
介護福祉士は次のような重要支援を行う。
● 移動・避難の介助
● 車いす・歩行器の確保
● 体位交換や安全な姿勢保持
● 本人の不安軽減の声かけ
● 服薬・持病の状況確認
専門的な介助ができる介護福祉士の存在で、避難成功率が大きく高まる。
■② 避難所での“生活支援”の中心となる
避難所生活では、要介護者は以下の場面で特に困る。
● トイレへの移動
● 食事の姿勢保持
● 夜間の見守り
● 排泄ケア
● 入浴ができない期間の清潔保持
介護福祉士は、普段から行っている「生活を支える介護」を避難所でも継続できるため、被災者の尊厳を守る力が大きい。
■③ 認知症高齢者の“行動・心理症状”に対応できる
災害時は環境の変化で認知症症状が悪化しやすい。
● 夜間徘徊
● 不安・興奮
● せん妄
● 食事拒否
● 水分不足
介護福祉士は、本人の性格や生活背景を読み取り接し方を調整できるため、症状悪化を防ぐ役割が非常に大きい。
■④ 生活不活発病・誤嚥性肺炎など二次被害の予防
高齢者が避難所で最も危険なのは、直接的な怪我よりも“二次健康被害”。
介護福祉士は以下を通じて予防に動く。
● 軽い体操や関節可動域運動の促し
● 水分摂取・食事の声かけ
● 姿勢調整で誤嚥を防ぐ
● ベッドや布団の配置を工夫
● トイレ介助で転倒予防
介護の専門知識が、避難生活の健康リスクを一気に下げてくれる。
■⑤ 家族介護者の精神的負担を軽減
災害時、家族介護者は心身ともに極限状態になりやすい。
介護福祉士が介助に関わることで、
● 介護負担の軽減
● 夜間の見守り負担が減る
● 専門的なアドバイスが得られる
● 介護事故のリスクが減る
避難生活の“家族の心の余裕”を守る大きな支えになる。
■⑥ 要配慮者の名簿・状態把握を行い情報共有
避難所運営では、住民の状況把握が命を守る鍵。
介護福祉士は、
● 要介護度
● 持病・服薬情報
● 歩行状態
● 認知症の有無
● 特別な配慮が必要な点
これらを整理し、避難所運営チームと共有することで、より安全な支援につなげられる。
■⑦ 福祉避難所への搬送判断に関わる
一般避難所では生活が難しい人は、「福祉避難所」へ移送される。
介護福祉士は、
● 本人の状態
● 家族の状況
● 介護負担
● 医療ケアの必要性
を判断材料として、福祉避難所への移送判断にも関わる大切な存在となる。
■⑧ 介護福祉士が災害時に持っておくと良い物
介護の現場で即戦力になるものを整理すると、
● 使い捨て手袋
● 清拭シート
● 口腔ケア用スポンジ
● 携帯ライト
● 替え靴下
● メモ帳・筆記具
● 介護記録用フォーマット
これらがあるだけで、避難所での介護の質が大きく変わる。
■まとめ|介護福祉士は“避難所の安心”を支える柱
介護福祉士は、被災者の命だけでなく「生活」と「尊厳」を守る専門家。
● 要介護者の安全確保
● 避難所での生活介助
● 認知症への対応
● 二次被害の予防
● 家族介護者の負担軽減
● 状態把握と共有
● 福祉避難所へのつなぎ役
災害時ほど、介護福祉士の専門性は光る。
要配慮者が安全に過ごせる避難生活をつくるために、欠かせない職種である。

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