地震には「前震（ぜんしん）」と「本震（ほんしん）」という考え方がある。
しかし、実際には 揺れの最中に“それが前震なのか、本震なのか”を判別することは不可能。
この不確実さこそが、地震災害を難しくするポイントだ。
ここでは、前震・本震の違いと、日常生活でどう備えるべきかを分かりやすく解説する。
■① 前震とは？
前震とは 本震の前に起きる比較的大きな地震 のこと。
● 最初の揺れは本震ではなく “前震” の可能性
● 前震→本震の順は後から分かる
● 多くの人が最初の揺れで油断してしまう
【例：2016年熊本地震】
・4月14日 → 震度7（実は前震）
・4月16日 → 震度7（こちらが本震）
自分が立っている家・職場が
「まだ本震が来ていない状態かもしれない」
という前提が必要になる。
■② 本震とは？
本震とは 地震活動の中で最も大きなエネルギーが放出される揺れ のこと。
● 前震の数倍の揺れになる場合もある
● 建物や家具が耐えられず“二度目の揺れ”で壊れる
● 人的被害は本震で大きく増える傾向
一度目の揺れで小さな被害が出ていると、
次の本震で一気に危険が高まる。
■③ 最初の揺れでは“判別ができない”
これが最重要ポイント。
● 体感では区別不可能
● 気象庁も判別できない
● 機器のデータでも即時に判断は不可能
つまり、最初の揺れが
「本震」なのか「前震」なのかは、
すべて揺れが終わった後の解析で初めて分かる。
だからこそ、最初の揺れが小さくても油断は絶対に禁物。
■④ “前震のあとに大地震”のケースは実際に多い
● 熊本地震（2016）
● 東日本大震災（2011：地震連鎖）
● 能登半島地震（2024）
● 北海道胆振東部地震
多くの災害が、前震・本震の連鎖あるいは
「小さな揺れの後に突然の大揺れ」という形で発生している。
■⑤ 一度目の揺れの後が“最も危ない”
小さな揺れ → 安心して行動 → 本震で被災
この流れが最も典型的な危険パターン。
特に危険な行動は以下：
● 揺れが止まった瞬間に立ち上がる
● 家の中を歩き回る
● ガラス片の上を移動
● 外に飛び出す
● 高い棚の近くに入る
二度目の揺れ（本震）を想定した安全確保が必要。
■⑥ 避難判断は「本震前提」が基本
地震後の最重要判断はこれ。
● 家の中 → 安全地帯に待機
● 建物外 → ブロック塀・看板から距離を取る
● 海岸 → 津波警報が出たら迷わず高台へ
● 夜間 → 懐中電灯で足元を確認
「小さかったしもう大丈夫」と考えると危険。
■⑦ 子ども・高齢者がいる家庭は特に注意
二度目の揺れは突然来るため、
移動に時間がかかる人ほどリスクが高い。
● 避難靴をベッド横に置く
● 懐中電灯をすぐ取れる場所に
● 家具固定は必須
● 扉の確保（歪むと開かない）
本震に備えた“生活動線の確保”が命を守る。
■まとめ｜最初の揺れを“本震と仮定する”のが命を守る
地震では次のことを必ず理解しておく必要がある。
● 最初の揺れは前震かもしれない
● 本震はその後に大きく来る可能性がある
● 判別は揺れの最中には不可能
● 小さい揺れでも行動再開は危険
結論：
“一度目の揺れ＝本震のつもりで身を守る”
これが最も確実な防災行動になる。
揺れの後こそ、落ち着いて、次の揺れへの備えを。
それが、大地震で命を守る最強の行動だ。
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