【防災士が解説】防災×熊本県③|“熊本地震の教訓”を家庭の備えに落とし込む方法

熊本県は、2016年の熊本地震で
「前震→本震」という異例の地震活動を経験した地域。
その影響で、県民の防災意識は全国トップクラスだが、
一方で“時間が経つほど忘れやすい教訓”も多い。

ここでは、熊本地震の教訓を、
今の家庭防災にどう活かすかを分かりやすく解説する。


■① 家具固定は“命を守る装備”と考える

熊本地震で最も多かったケガは「家具転倒」だった。

● タンス・食器棚が倒れて下敷き
● テレビが飛んで骨折
● 冷蔵庫がズレて通路を塞ぐ
● ベッド周りの家具が落下

最重要ポイント:寝室の家具こそ最優先で固定する。

人は1日の3分の1を寝室で過ごすため、
“寝室が安全かどうか”が生存率を大きく左右する。


■② “前震で避難しなかった”ことが被害を大きくした

熊本地震で特徴的だったのは、

大きな前震 → さらに大きい本震

という構造。

前震で避難をためらった人の多くが、
本震で被害を受けたと言われている。

教訓:一度大きく揺れたら避難をためらわない。

揺れの大小ではなく
“家が危険かどうか”で判断すること。


■③ 車中泊問題を“安全に”行う準備が必要

熊本地震では、車中泊避難が急増し、
エコノミークラス症候群が多発した。

● 足がむくむ
● 血栓ができやすい
● 長期化すると健康悪化

車中泊セットを用意しておくのが現実解。

● 車中泊マット
● 寝袋
● ペットボトル水
● 携帯トイレ
● 圧縮毛布

これらがあると、災害直後の数日を安全に過ごせる。


■④ 水の復旧が遅れやすかった教訓=水は多めに備蓄

熊本地震では、水道復旧に時間がかかった地域が多い。

そのため、
全国基準の3日分では不安。

▶ 熊本は最低5〜7日以上の備蓄が推奨。

● 飲料水
● 調理用水
● トイレ用の非常用水(給水バッグなど)

水だけで家庭の安心感が大きく変わる。


■⑤ 物流が止まった=“日頃のローリングストック”が必須

地震直後、熊本市内でもスーパーから物資が消えた。

● パン・カップ麺・水の売り切れ
● ガソリンスタンドが大渋滞
● 物流トラックが県内に入ってこない

日々のローリングストックこそ最強の備え。

● 缶詰
● レトルト
● 常温保存食品
● カップ麺
● お菓子
● 水

普段から自然に備蓄できる仕組みを家庭に作ると強い。


■⑥ 被災後の“心のケア”が見落とされがち

熊本地震後、
多くの人が「小さな揺れでも不安になる」状態になった。

● 子どもが不安で眠れない
● 大きな音に反応してしまう
● 余震が続くことで精神的に疲弊

心理面のケアは非常時こそ重要。

● 子どもとは「揺れたらこう動く」を繰り返し共有
● 大人も不安を言語化して支え合う
● 情報は公式発信に絞り過剰接触を避ける

心の疲れは災害長期化で必ず出るため、
“家族同士で声をかける習慣”が大きな支えになる。


■⑦ 避難所での生活環境を知っておく

熊本地震では避難所の環境差も大きかった。

● 仕切りがない
● プライバシー不足
● 物資がすぐ届かない
● 長期化でストレス増大

在宅避難・車中泊・親戚宅避難など複数プランを持つ。

家族構成によっては避難所より
“自宅の安全確保+在宅避難”の方が快適な場合も多い。


■まとめ|熊本地震の教訓を“日常化”しておく

熊本県で防災を語るうえで、
熊本地震の教訓は絶対に忘れてはいけない。

● 家具固定(寝室優先)
● 前震の段階で避難判断
● 車中泊への備え
● 水は5〜7日
● 情報は公式発信に絞る
● 心のケアを忘れない
● 避難の複数ルートを持つ

熊本の地震経験は、
“あなたの家族を守る最高の教材”になる。

過去の大災害を未来の命を守る力に変えていこう。

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