【防災士が解説】防災×福祉タクシー|“移動弱者を守る”災害時の重要インフラになる理由

災害時に最も困難になる行動のひとつが「移動」。
特に高齢者・障がいのある方・病気治療中の方など“移動弱者”にとって、避難は命に直結する問題だ。
そのとき大きな力になるのが 福祉タクシー である。

ここでは、福祉タクシーが災害時に果たす役割と、家庭が事前にできる備えをまとめる。


■① 福祉タクシーは“災害弱者の避難インフラ”

高齢者・歩行困難・車椅子ユーザーなどは、徒歩避難が難しい。

● 避難開始に時間がかかる
● 車に乗るにも補助が必要
● 荷物を持てない
● 遠距離移動ができない

福祉タクシーは、災害時に命を運ぶ“移動支援の最後の砦”。

専門のスタッフが同乗するタイプもあり、介助が必要な方には特に重要。


■② “車椅子・ストレッチャー”を積んで移動できる強み

通常のタクシーではできない動きができる。

● リフト付きで乗降が安全
● ストレッチャーのまま移送可能
● 医療用酸素が積める車両もある

災害時は道が悪くなるため、通常車両では対応できないケースが増える。
福祉タクシーの装備は、そのまま 命の安全性につながる


■③ 災害発生直後は“予約殺到でつながらない”

被災地では、次のような理由ですぐに手配できなくなる。

● 介助が必要な人が一気に問い合わせ
● スタッフ不足
● 道路寸断で移動困難
● 燃料不足で運行制限

“平時のうちに登録しておく”ことが最大の防災。

地域によっては優先利用制度がある。


■④ 事前に家族がしておくべきチェックリスト

福祉タクシーは災害時に頼れるが、予約できなければ意味がない。
以下の準備は必須。


● ① 近隣の福祉タクシー会社を2社以上登録

スマホに連絡先を保存(紙にも書く)。

● ② 介助内容を家族で共有

● 車椅子の種類
● 必要な医療機器
● 乗せ方の注意点

● ③ 自宅前の“乗り込みスペース”を確保

災害時は慌てるため、段差・障害物の事前確認が命を守る。

● ④ 夜間避難の想定

暗い中での乗降は危険。
ライトやランタンを玄関に常備しておく。


■⑤ 避難所側も“移動困難者”を想定すべき

福祉タクシーの利用者は避難所で優先的に配慮されるべき存在。

● バリアフリールート
● 車椅子スペース
● 医療・福祉スタッフとの連携
● 専用駐車スペース

避難所側が「どの時間帯に、どの場所で、どう受け入れるか」を決めておくことが、地域全体の防災力を高める。


■⑥ 福祉タクシーは“自治体の災害支援”でも重要

多くの自治体では、福祉タクシー事業者を災害協定に組み込み、

● 要配慮者の避難輸送
● 医療機関への緊急移送
● 福祉避難所への移動
● 自宅で動けない高齢者の輸送確認

などの役割を担っている。

フェーズ1(初動)で最も必要になるのが“移動支援”であり、福祉タクシーはその要となる。


■⑦ 家庭での“非常時の乗車シミュレーション”が命を守る

災害時に多い死亡原因のひとつが 避難の遅れ
特に高齢者や障がいのある方は、乗車の準備だけで数分〜数十分かかる。

家庭で以下を一度実践しておくとよい。

● 玄関から車までの動線確認
● 段差の乗り越え
● 乗車にかかる時間を計測
● 必要な荷物のリスト化

▶ “本番で迷わない”ことは、最強の防災行動。


■まとめ|福祉タクシーは“災害弱者の命綱”になる

福祉タクシーの強みは次の通り。

● 車椅子・ストレッチャー移動が可能
● 介助スタッフが乗車できる
● 医療的ケアに対応する車両もある
● 避難所・自治体と連携しやすい
● 移動弱者の避難に不可欠な存在

大切なのは、

「発災してから探す」のではなく 「平時から登録しておく」こと。

家族に要支援者がいる家庭は、今日中に近隣の福祉タクシーの連絡先を調べておこう。
それだけで、災害時の生存率は大きく変わる。

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