【防災士が解説】防災×天ぷら油④|“冬の揚げ物”が特に危険になる理由と必ず知っておく対策

天ぷら油火災は一年中起こるが、
実は 冬こそ最も危険度が高い季節
気温が低い冬なのに火災が増えるのは、油の性質と家庭の行動が重なるためだ。

ここでは、元消防職員・防災士の視点で、
冬の揚げ物が危険になる理由と、家庭で絶対にしておくべき対策をまとめる。


■① 冬は“注意力が散りやすい季節”

冬は家庭内での作業が増える。

● 年末準備・掃除でバタバタする
● 子どもが家の中で遊ぶ時間が長い
● 来客や電話が増える
● 体が冷えて動きが遅くなる

“ちょっとの気の緩み”が火災の引き金になる。


■② 換気不足で“被害が拡大しやすい”

冬は寒さで窓を閉めがち。
その結果、次の状況が起きやすい。

● 煙がこもる
● 気づくのが遅れる
● 焼損範囲が広がる
● 一酸化炭素も発生しやすい

油火災は数秒で炎が天井へ届くため、換気不足は非常に危険。


■③ 暖房器具と“火の気”が増える

冬は火を使う家電が増える。

● 石油ストーブ
● ファンヒーター
● 電気ストーブ
● ホットカーペット

これらが近くにあると、油火災の熱で次々と延焼し、大火災につながる。


■④ 冬の油は加熱スピードが“早くなる”

油は気温が低いほど、温度変化が大きくなる。

● 冬は高温になりやすい
● 発煙点(180℃前後)まで一気に上がる
● 発火点(約360℃)へ急上昇する

調理者が“温まりにくい”と錯覚して、強火にしてしまうのも原因。


■⑤ 厚手の服・エプロンが“燃え移りやすい”

冬の衣類は素材が燃えやすい。

● フリース
● ニット
● 化繊のアウター

これらは一度火がつくと一気に燃え広がる。
袖口が広い服やマフラーはキッチンで脱ぐのが鉄則


■⑥ 油火災の初期対応は“冬でも同じ”

もし油に火がついたら、行動はただ一つ。

① 熱源を切る

(ガスならつまみ、IHなら電源OFF)

② フタ・天板を被せる

(酸素を断つ。絶対に水はかけない)

③ 油火災専用スプレーで対応

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これだけで炎は確実に消える。


■⑦ 冬の揚げ物ルールを“家族で共有”する

冬だけは特に次のルールがおすすめ。

● 揚げ物中はコンロから3m以内で待機
● 子どもが近づかないよう声がけ
● 来客対応は家族の誰かが代わる
● 換気扇は必ず回す
● 調理前に袖・マフラーを外す

家族の連携が火災を防ぐ。


■⑧ 冬こそ揚げ物は“少量の油”が安全

油の量を減らすと火災リスクは激減する。

● 鍋の半分以下
● 少量揚げに切り替える
● フライパンでの揚げ焼きに変更する

冬場は少量調理が最も安全。


■まとめ|冬の揚げ物は“油断しない家庭”が家族を守る

冬は次の理由で油火災が増える。

● 換気不足で気づくのが遅れる
● 火を使う家電が増える
● 厚着で燃え移りやすい
● 油の温度が急上昇しやすい

しかし、対策を知っていれば防げる火災でもある。

“冬こそ揚げ物に集中する”

この一つの行動が、家族と住まいを守る最強の防災になる。

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