災害時、「冷蔵庫が使えない」「保存できない」「水が使えない」――
そんな非常時にこそ役立つのが クーラーボックス。
一見“キャンプ用品”だが、防災の観点から見ると、
命をつなぐ貴重な“食のセーフティネット”になる。
ここでは、防災士としての経験から、
クーラーボックスがなぜ有効か、
どう選べばいいか、そして最低限持つべき理由を解説する。
■① クーラーボックスが“冷蔵庫の代わり”になる場面
災害直後や停電が長引くとき、以下のような状況が起こる。
- 冷蔵庫の冷却が切れる
- 冷凍庫の氷が水になる → 腐敗や冷え不足
- 水の供給が断たれ、生ものがすぐダメになる
そんなとき、
クーラーボックス+保冷剤/氷/凍らせた飲料 があれば…
✅ 食材を2〜3日程度保冷可能
✅ 飲料の冷えを確保 → 熱中症・脱水対策
✅ 医療用薬や乳製品などの温度管理
まさに“簡易冷蔵庫”として活躍する。
■② 防災用クーラーボックスの選び方(5つの基準)
① 保冷力(“断熱材+厚さ”)がしっかりしていること
断熱が弱いと、夏場は数時間で効力が切れる。
目安:最低でも「1〜2日程度保冷可能なもの」
② サイズは「家族人数 × 1–2日分」が入るもの
少人数なら20–30ℓ、家族なら 40–60ℓ。
大きすぎると保冷効率が落ちるので注意。
③ 密閉性・フタのロックがしっかりしていること
開け閉めで冷気が逃げやすいので、
しっかり閉まる・フタが浮かない構造が望ましい。
④ 持ち運びやすさ(ハンドル/キャスター付き)
災害時は運ぶ機会があるので、
頑丈かつ持ち運びしやすいものがベター。
⑤ 多用途としても使えること
後々キャンプや買い出しにも使えると、
“防災用以外でも活躍する=無駄にならない”。
■③ 「まずこのサイズを買うなら」目安
| 人数/目的 | 目安サイズ |
|---|---|
| 1人避難用 | 20〜30ℓ |
| 2〜3人家族 | 40〜50ℓ |
| 4人家族以上 | 60ℓ前後 |
目安よりやや余裕あるサイズがあると安心。
■④ 防災×クーラーボックスを使うべき4つのタイミング
- 停電が続いて冷蔵庫が使えないとき
- 断水で水や氷が使えないとき
- 避難所へ一時避難するとき(食材・薬の保冷に)
- 断水・暑さ・熱中症対策で飲み物を冷やすとき
避難所でも“冷える飲料”があるのは思った以上に安心要素。
■⑤ プロがやってる“クーラーボックス活用術”
- 凍らせたペットボトルを「氷兼飲料」として使う
- 常温保存していた食材を一時的に冷やす
- 冷えた飲料を長時間保存、熱中症対策に活用
- 薬・冷却剤・冷凍食品の一時保管場所として使う
- 被災直後の数日間“命の橋渡し”として活躍
■⑥ 注意点:万能ではない。保冷剤・氷が必要
クーラーボックスは魔法ではない。
保冷剤 or 氷を使わないと意味がない。
災害直後なら氷を用意できる可能性もあるが、
氷が溶けたあとは早めに食べ切るか他手段に切り替えを。
■まとめ|クーラーボックスは“冷える備え”の決定版
クーラーボックスは、
災害時に「冷蔵庫代わり」になる数少ない道具。
冷蔵庫・冷凍庫が使えなくても、
飲み物・食材・薬の“冷え”を確保できるだけで命の安心度が変わる。
- 食材が痛みにくい
- 飲み物で脱水・熱中症対策
- 医薬品や赤ちゃん用ミルクにも対応
防災の必需品として、まずは 家族に合ったサイズを1つ備えておこう。
「冷える安心」が、防災備蓄の大きな柱になる。

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