冬の災害では「乾燥」が想像以上に大きなリスクとなる。
避難所・自宅避難・車中泊では湿度が下がりやすく、肌トラブルや感染症、さらには火災リスクまで高まる。
ここでは、防災士の視点から“乾燥が災害時に危険な理由”と“今日からできる湿度対策”をまとめる。
■① 乾燥は“肌・粘膜のバリア機能”を壊す
乾燥すると真っ先にダメージを受けるのが、
● 喉
● 鼻
● 目
● 肌
これらはすべて“外敵から体を守るバリア”だ。
乾燥すると、バリアが破れて以下の症状が起こりやすくなる。
● 風邪をひきやすくなる
● インフルエンザなどが感染しやすくなる
● 肌のひび割れ・あかぎれ
● かゆみ・湿疹
● 喉の痛み・咳
避難所では睡眠不足が重なり免疫が落ちているため、乾燥が一気に体調不良につながる。
■② 避難所は“極端な乾燥環境”になりやすい
災害現場の経験から言うと、次のような理由で避難所は乾燥しがちだ。
● 体育館はそもそも乾燥している
● 人が多く空気が入れ替わりにくい
● 暖房で湿度が一気に下がる
● マスクで呼吸が浅くなり粘膜が乾きやすい
● 水が貴重で、加湿をしにくい
特に夜間の体育館は驚くほど湿度が低く、
朝になると喉が痛い・咳が止まらないという人が続出する。
■③ 乾燥は“火災リスク”を一気に高める
乾燥は体調だけでなく、災害時の“火災発生”の大きな原因にもなる。
● ストーブ火災
● 電気ヒーターの火災
● ホットカーペットの過熱
● 静電気による引火
● テント内の火気取り扱い
乾燥している室内は、
ほんの小さな火でも一気に燃え広がりやすい。
特に避難所では
・布
・ダンボール
・毛布
など可燃物が密集しているため、“火災の初期消火が間に合わない”ことが多い。
■④ 防災士がすすめる“乾燥対策セット”
災害時でも乾燥を防ぐためには、次の3つが即効性がある。
① 使い捨て加湿タオル(濡らして吊るすだけ)
水分が少なくても湿度が上がる。避難所でも使いやすい。
② ワセリン・保湿クリーム
肌のバリアを守る最強アイテム。
傷口の保護にも使えるため、防災リュックに必携。
③ マスク(不織布 or 布)
喉・鼻の乾燥を防止する。
特に就寝時はマスクが効果的。
【おすすめ例】
▶︎ 第一三共ヘルスケア「プロペト ピュアベール」
(肌が弱い人・子どもにも使いやすい)
■⑤ 自宅避難での“理想の湿度”
乾燥とカビの両方を防ぐために、安全な湿度ラインは次の通り。
● 湿度:40〜60%
● 室温:18〜22℃(冬)
● 換気:1〜2時間に1回
● 風の直撃を避ける
● 洗濯物の室内干しは湿度調整に効果的
“乾燥しすぎない・加湿しすぎない”ことが健康のカギだ。
■⑥ 車中泊は乾燥+冷えが重なる危険な環境
車内は狭く、乾燥しやすい。
● エアコンの冷風・暖房
● 換気不足
● 長時間座位による疲労
● 睡眠の浅さ
これらが重なると免疫が一気に落ちる。
車中泊では以下の工夫が有効。
● 首元とお腹を冷やさない
● “寝る前だけ”窓を1〜2cm開けて換気
● 湿らせたタオルを吊るす
● のど飴・水分補給をこまめに
乾燥を軽く見ないことが、災害時の体調維持に直結する。
■まとめ|乾燥は“静かに体力を奪う災害”
乾燥は目に見えないが、災害時には命に関わるほどの影響をもたらす。
● 喉・鼻・肌の防御力が落ちる
● 感染症のリスクが跳ね上がる
● 避難所の乾燥は想像以上に厳しい
● 火災が発生しやすくなる
● 車中泊は乾燥+冷えでさらに危険
● 加湿タオル・ワセリン・マスクが最強対策
災害時の「乾燥対策」は、体調と命を守るための重要な備え。
今日からできる対策で、冬の災害にも強い身体をつくっていこう。

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