【防災士が解説】地震保険はいくらくらい出る?|“実際に支払われる金額”を分かりやすく整理

地震大国・日本では、地震保険が生活再建の重要な柱になる。
しかし「実際いくらもらえるの?」「どんな基準で金額が決まるの?」と疑問を持つ人は多い。
ここでは、防災の視点から“地震保険で受け取れるリアルな金額”を分かりやすく解説する。


■① 地震保険は“実損払い”ではなく“区分払い”

地震保険は、壊れた分だけもらう仕組みではない。
被害の程度を 4段階の区分 に分け、その割合で支払われる。

全損:100%支払い
大半損:60%支払い
小半損:30%支払い
一部損:5%支払い

契約金額に、この割合をかけて受け取る。

例:地震保険1,000万円契約
● 全損 → 1,000万円
● 小半損 → 300万円
● 一部損 → 50万円

“少し壊れただけ”でも5%=50万円が出ることは大きなメリット。


■② 一番多いのは“一部損”で10〜50万円

熊本地震・能登半島地震の実績でも最も多いのが「一部損」。

● 外壁のひび
● 基礎の欠け
● 屋根瓦のズレ
● 家の傾き(軽度)

この程度でも 5万円〜50万円 の範囲で受け取れるケースが多い。


■③ 小半損・大半損は“生活再建の核”になる金額

倒壊はしていないが大きな損害が出た場合は次のゾーン。

小半損(30%)
→ 30〜300万円

大半損(60%)
→ 100〜600万円

このクラスになると、
● 仮住まいの家賃
● 修繕費の一部
● 家財の買い替え
● 引っ越し
など、生活を再構築するための“まとまった資金”として十分役立つ。


■④ 全損は“満額”。1000万円〜5000万円が一般的

家が倒れる・津波で流されるレベルの全損は、契約金額が満額支払われる。

■建物
● 契約金額:500〜5000万円
● 多いのは1000〜2000万円帯

■家財
● 最大1000万円
● 実際は300〜600万円が多い

例:建物1500万円、家財600万円で契約 → 全損なら
● 1500万円+600万円=2100万円支給

家の再建や新築の“核資金”になる。


■⑤ 実際の支払い例(被災地のリアル)

現場で多かったケースをまとめると、次のような金額帯が多い。

● 屋根瓦の破損 → 10〜30万円
● 外壁の落下 → 30〜70万円
● 家の傾き → 50〜300万円
● 大規模損壊 → 200〜600万円
● 全壊 → 1000万円〜2000万円以上

特に家財保険は「全部倒れる」ため、
家財300〜600万円の受け取りも珍しくない。


■⑥ 地震保険は“家を完全に直す保険ではない”

誤解されがちだが、地震保険の目的は次の通り。

● 家を元通りにする → ❌
● 生活を立て直す“初動資金”を確保 → ◎

例えば全損でも、再建費用が3000万円なら不足する。
しかし 1000万円がすぐに受け取れる ことで、

● 賃貸への移動
● 片付け
● 新生活の準備
● 引っ越し費用

こうした“再建のスピード”が全く違ってくる。


■⑦ 結論|地震保険は“いくら出るか”ではなく“どれだけ生活が守られるか”

地震保険で出る金額は次のイメージ。

● 一部損:10〜50万円
● 小半損:50〜300万円
● 大半損:200〜600万円
● 全損:1000〜5000万円

生活再建のための資金としては非常に強力で、
地震後の“絶望的な状況”を救う大切なリカバリーラインだ。

災害後の混乱のなかで、すぐに受け取れる現金は圧倒的に強い。
家族を守るためにも、地震保険の仕組みと金額感は必ず押さえておきたい。

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