【防災士が解説】防災×喘息|“発作リスクが急上昇する災害時”に備えるべき理由

喘息(ぜんそく)のある人にとって、災害時は発作リスクが大幅に上がる。
理由は、環境の急変・ストレス・アレルゲンの増加など、
平時とは比べ物にならないほど呼吸器の負担が増えるからだ。

ここでは、防災士の視点で「喘息と災害」の危険性と備えを分かりやすくまとめる。


■① 災害時は“埃・カビ・粉じん”が急増して発作の原因になる

地震・豪雨・台風後は、以下が急増する。

● ホコリ
● カビ
● 倒壊した家屋の粉じん
● 土砂の舞い上がり
● ペットの毛、ダニ

喘息持ちにとって、これらは全て発作の引き金。

特に避難所は多人数・換気不十分・埃が舞いやすい環境になりがちで、
症状が悪化しやすい。


■② ストレス・睡眠不足が“発作のきっかけ”になる

災害時はストレスが極端に増える。

● 不安
● 睡眠不足
● 慣れない避難所生活
● 気温変化
● 生活リズムの乱れ

これらは喘息発作を誘発しやすく、
特に夜間発作(明け方〜午前)は要注意。


■③ “薬が切れる”ことが最大のリスク

発作を防ぐ一番の手段は「薬を切らさないこと」。

しかし災害時は…

● 通院できない
● 薬局が閉まっている
● 処方箋がもらえない
● 荷物が濡れて薬が使えない

こうした状況が起きやすく、
発作が悪化するケースが多い。


■④ 避難所は喘息に不利な環境が多い

避難所には以下のリスクがある。

● 密集環境でのアレルゲン増加
● 布団・毛布にホコリ
● 換気が不十分
● 温度差が大きい
● ペット避難で毛が舞う場合もある

喘息持ちの人は、
“避難所では悪化しやすい”ことを必ず理解しておきたい。


■⑤ 非常持ち出し袋に“喘息専用セット”を作るべき理由

喘息持ちは、通常の非常袋とは別に
「喘息専用キット」 を作っておくと安心。

● 吸入薬(発作時用)
● コントローラー(毎日使う薬)
● スペーサー(吸入補助具)
● マスク(N95 or 高性能)
● お薬手帳のコピー
● 医師の診断書(あると処方が早い)
● ポリ袋(薬を湿気から守る)

特に吸入薬は命に直結する。


■⑥ N95・高性能マスクは“粉じん災害”で超重要

普通の布マスクでは粉じんやアレルゲンを防げない。

喘息持ちは次を推奨。

● N95
● KF94
● 高性能不織布マスク

これがあるだけで発作のリスクは大幅に下がる。


■⑦ 車中避難の方が安全な場合がある

避難所の環境が合わないときは、
車中避難の方が喘息に良いケースも多い。

● 温度調整がしやすい
● ホコリが少ない
● 個室空間
● 睡眠環境が整えやすい

ただし、必ず以下は守る。

● 一酸化炭素中毒対策(換気・エンジン管理)
● 定期的に体を動かしてエコノミークラス症候群を防ぐ


■⑧ 災害時の“喘息カンファレンス”を家族で決めておく

家族が知っておくべき行動ルールは以下。

● どの薬をどのタイミングで使うか
● 発作のサイン(軽度・中等度・重度)
● 救急に電話する基準
● 病院までのルート
● お薬手帳・診察券の保管場所

家族が正しく対応できれば、
災害時の不安は大幅に減る。


■まとめ|喘息×防災は“命を守る準備”が最優先

喘息持ちは災害時に発作リスクが急増する。
理由は以下の通り。

● 埃・カビ・粉じんが増える
● ストレスで発作が起きやすい
● 薬が切れるリスクが高い
● 避難所が不利な環境
● 温度・湿度の変化が激しい

結論、
「喘息専用の防災対策」を持つことが命を守る。

吸入薬・スペーサー・高性能マスク・お薬手帳。
これらを必ず非常持ち出し袋にセットしておくことで、
災害時でも呼吸を守る準備ができる。

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