【防災士が解説】防災×車庫|“自家用車を守る・避難に使う・家族を守る”ための3つの視点

車庫(ガレージ)は、普段は車を置くだけの場所に見えるが、
実は「防災における重要拠点」になる。
災害時は車が避難・暖房・電源・物資保管のすべてに使えるため、
“車庫の防災力”を高めることは家庭全体の安全に直結する。

ここでは、防災×車庫を【車を守る/命を守る/物資を守る】の3軸で解説する。


■① 車庫が“車そのものを災害から守る”

車は避難の足であり、電源としても使える“命綱”。
車庫の状態次第で、災害直後の行動力が大きく変わる。

●【地震対策】倒壊・崩落物から車を守る

・ブロック塀の隣接 → 倒壊の危険
・古いカーポート → 強風で屋根が飛ぶ
・天井収納の落下物 → 車を直撃

→ 特に1990年代以前に建てられた車庫は耐震性を再確認

●【台風対策】飛来物対策が必須

・屋根パネルの劣化
・ネジの緩み
・ポリカ屋根が風圧で破損

→ 風速25m/s以上でカーポートは破損リスク増


■② 車庫は“避難・滞在”のための緊急スペースになる

車庫は「屋根がある」「雨風をしのげる」「家のすぐ隣」という強みがあり、
災害時は避難スペースとして非常に使える。

●【車中避難の拠点】

・雨や落下物を避けて安全に乗り降りできる
・プライバシーを確保しやすい
・家屋が倒壊しても車庫内の車で過ごせる

●【冬や大寒波の避難】

車庫であれば
・エンジンの雪囲い
・排気口の確保
が容易で、CO中毒のリスクを低減できる。


■③ 車庫に“防災物資を集約”すると生存率が上がる

車庫は家の中で唯一、
「出入口に近い/外にすぐ運べる/車にすぐ積める」
という機能を持つ。

そのため、非常持ち出し袋・車中泊グッズの保管場所として最適。

●最低限そろえる防災セット

・非常持ち出し袋(2個)
・車中泊キット(毛布・エアマット)
・簡易トイレ
・飲料水(箱ごとOK)
・ライト・ランタン
・カセットコンロとボンベ
・車用モバイルバッテリージャンプスターター
・ブースターケーブル
・タイヤチェーン(冬)

車庫にこれらを置くと“5秒で避難可能”な状態が作れる。


■④ 浸水地域は“車庫そのものが凶器”になる可能性もある

浸水しやすい地域では、車庫は次の被害を起こしやすい。

● 車が浮いて流される
● 車庫ごと浸水し、家に衝突
● 電気設備が水没
● 倒壊した車庫が道路を塞ぐ

→ ハザードマップで浸水深を必ず確認しておくこと。


■⑤ 車庫にある物が“二次災害”を起こすことも

車庫は危険物が多い場所でもある。

● ガソリン携行缶
● スプレー缶
● 電動工具のリチウム電池
● 灯油タンク

地震で倒れたり火災で加熱したりすると爆発・延焼の原因に。

→ 倒れにくい棚・固定・専用BOXで保管する。


■⑥ 車庫の“防災力を最大化”する具体的チェックリスト

すぐ実行できるものだけをまとめた。

●構造チェック

□ 屋根のネジが緩んでいないか
□ 柱が錆びていないか
□ ブロック塀との距離は十分か
□ ひび割れ・傾きはないか

●物品チェック

□ ガソリン缶は固定
□ スプレー缶は密集させない
□ 灯油タンクは転倒防止
□ 地震で飛ぶ物はないか

●防災装備

□ 車中泊セットを常備
□ ライト・常備薬・水を箱で保管
□ 車のガソリンは“常に半分以上”
□ 冬はチェーンを車庫に常備


■まとめ|車庫は“家庭の防災ステーション”になる

車庫には、次の3つの強みがある。

● 車を守る(避難・電源・暖房)
● 家族を守る(安全な乗降・避難スペース)
● 物資を守る(非常持ち出しの拠点)

反面、
・強風
・地震
・浸水
・危険物
に弱い面もあるため、事前の点検と物品の整理が欠かせない。

車庫を整える=家族の避難力が一気に上がる。

今のうちに、車庫の“防災レベル”をチェックしておくことが、
非常時の生存率を確実に高める最強の防災だ。

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