都市部で増えている「ペンシル住宅(ペンシルハウス)」。
細長くて3階建てが多く、限られた土地を有効活用できる一方で、
防災の観点では弱点が多い住宅形態だ。
ここでは、ペンシル住宅の災害リスクと、身を守るためにできる対策を
元消防職員・防災士の視点で分かりやすく解説する。
■① 地震に弱い構造リスク
ペンシル住宅は「細長い・縦長・接地面が小さい」という特徴があり、
揺れが増幅しやすい。
● 揺れが大きく感じやすい
● 3階部分の揺れ幅が特に大きい
● 壁量不足の住宅は倒壊リスクも
※特に1981年(新耐震基準)より前の建物は要注意。
→ 耐震等級の確認・リフォームで壁量強化が必須。
■② 火災時の“煙の上昇”が致命的
細長い階段は煙突のように作用し、
火災時はわずか数十秒で上階に煙が広がる。
● 出火階より上階は逃げられなくなる
● 階段が狭く、熱気が集中しやすい
● 玄関が1つのため、逃げ道が限定
→ 上階に寝室がある家庭は特に注意が必要。
■③ 隣家火災の延焼を受けやすい
都市部のペンシル住宅は敷地が狭く、
隣家との距離が極端に短い。
● 外壁の熱劣化
● 窓ガラスの破裂
● 飛び火で一気に延焼
● 隣家倒壊の巻き添え
→ 防火サッシ・防火シャッターの導入検討を。
■④ 豪雨・浸水に弱いケースもある
細長い住宅は敷地全体がコンクリートで覆われることが多く、
雨水の逃げ道が少ない。
● 排水が追いつかず浸水
● 前面道路が冠水し家に水が入り込む
● 地下室がある場合は浸水リスク大
→ 必ずハザードマップを確認しておくこと。
■⑤ 物資の備蓄が“縦に分散”される危険
ペンシル住宅は収納が少なく、
備蓄が1階・2階・3階に散乱しがち。
これは災害時に非常に危険。
● 火災 → 上階の備蓄にアクセス不可
● 地震 → 階段が損傷して取りに行けない
● 豪雨 → 1階備蓄が全て水没
→ 非常持ち出しは“1階の玄関近くに1セット”が鉄則。
→ 水・食料は“階ごとに小分け備蓄”が安全。
■⑥ 停電時は“階段の暗闇”が大きな事故要因になる
縦長住宅は階段使用の頻度が高く、
停電時の転倒事故が多発する。
● 懐中電灯では片手が塞がる
● 階段幅が狭く足を滑らせやすい
● 子ども・高齢者は特に危険
→ 階段に“人感センサー式LEDライト”を常夜灯として設置。
● 乾電池式または充電式を推奨
■⑦ ペンシル住宅の“防災力を高める7つの対策”
今日から実行できるものだけに絞った。
① 耐震性の確認
・耐震診断
・壁量の増設
・家具固定(特に3階)
② 火災警報器を階段に増設
・階段は煙の通り道
・上階に早く知らせる配置が必須
③ 炎対策に「防炎カーテン・難燃素材」を導入
・延焼防止に効果
④ 隣家火災への備え
・防火サッシ
・雨戸(シャッター)
・外壁の耐火性チェック
⑤ 1階玄関に“非常持ち出し袋”を固定配置
・避難時間を数十秒短縮
⑥ 階段に足元灯・センサーライト
・停電時の転落防止
⑦ 水害に備えて1階備蓄を最小化
・水・カセットガスは2階にも保管
・貴重品は上階へ
■まとめ|ペンシル住宅は“弱点を補えば強い家になる”
ペンシル住宅は、
● 地震
● 火災
● 浸水
● 停電時の階段事故
といったリスクが一般住宅より高い。
しかし、対策を行えば“都市型の強い住宅”に変えられる。
✔ 家具固定
✔ 階段ライト
✔ 防火対策
✔ 備蓄の配置工夫
✔ 耐震・防火のチェック
これらを整えるだけで、
ペンシル住宅は災害時の“安全拠点”になる。
家族を守るために、
あなたの家の“縦の安全性”を一度見直してみてほしい。

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