レンタル倉庫(トランクルーム)は
「家に置けない物を安全に保管できる場所」
と思われがちだが、実は災害リスクが非常に高い保管方法でもある。
元消防職員・防災士の視点から
レンタル倉庫の地震・火災・水害リスクと、
“預け方の正解”を分かりやすく解説する。
■① レンタル倉庫は“地震に弱い”
特に屋外型は建物構造がシンプルで揺れに弱い。
● コンテナが横転
● 内部の棚が倒れる
● 重量物が落下
● 通路が塞がり開かなくなる
屋内型でも地震に強いわけではなく、
ラック無固定・高積み・通路の狭さが事故を招く。
→「重いものを下に」「棚は固定」「高積みしない」が鉄則。
■② 火災リスクは“自宅以上”
レンタル倉庫火災が起きると被害が大きい理由:
● 消防車の放水が届きにくい
● 器具や家電など可燃物が多い
● 密集しているため延焼しやすい
● すぐに発見されない
● 自動火災報知機がない物件も多い
倉庫火災は被害が一気に広がり、
一瞬で全損になるケースも珍しくない。
■③ 浸水・台風に弱い|“屋外型は特に要注意”
● 台風時はシャッター破損
● 大雨で床上浸水
● 低地・側溝のない立地は水没する
● 内部の荷物は全て水浸し
レンタル倉庫は床が低い構造が多く、
雨水が溜まりやすいのが致命的。
→「ハザードマップ確認」は必ず実施。
■④ 虫・湿気・カビのリスクが高い
レンタル倉庫は断熱性能が低く温度差が激しい。
● 湿気がこもりカビ発生
● ダンボールが湿気で崩れる
● 家具・衣類が劣化
● 虫が入り込みやすい
→ ダンボール保管はNG。密閉コンテナが必須。
■⑤ 防犯面で“侵入”が心配
屋外型は鍵1つで守る構造が多い。
● バールでこじ開けられる
● 夜間は監視が緩い
● 人通りが少なく狙われやすい
● 長期間気づかれにくい
高価品・重要書類の保管には不向き。
■⑥ 防災士が推奨する“正しい預け方”
●① 貴重品は絶対に預けない
・現金
・通帳
・契約書
・相続関係書類
・思い出の品
→ 災害時は取り戻せない。
●② 湿気に弱いものは密閉し乾燥剤を入れる
・衣類
・布団
・革製品
・家電(内部が劣化)
●③ ダンボールは使わない
→ プラスチック収納コンテナに変更。
●④ “床から10〜15cm”離して置く
→ パレットに載せると浸水に強い。
●⑤ 高積みしない
→ 地震時の落下・破損を防ぐ。
●⑥ ハザードマップの水害リスクを必ず確認
特に
・河川近く
・埋立地
・低地倉庫
は危険。
●⑦ 火災リスクの高い物は避ける
・スプレー缶
・灯油
・バッテリー類
→ 火災原因になるため保管禁止のケースも多い。
■⑦ 実は“レンタル倉庫に向いているもの”
● スポーツ用品
● 季節家電
● アウトドア用品
● 子どもの大型玩具
● スーツケース
● 替えの家具類
→ 「壊れたら困るが、無くなっても致命傷ではない物」が正解。
■まとめ|レンタル倉庫は“便利”だが“安全”ではない
レンタル倉庫は便利だが、
● 地震
● 火災
● 水害
● 湿気
● 防犯
すべての災害リスクが自宅より高い。
しかし、
✔ 保管内容
✔ 保管方法
✔ 物件選び
を工夫すれば、十分安全に利用できる。
災害時に後悔しないために、
「預ける物」と「預け方」を今日から見直してほしい。

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