【元消防職員・防災士が解説】防災×フォークリフト|“災害対応の即戦力”になる理由と注意点

フォークリフトは「倉庫で荷物を運ぶ機械」というイメージが強いが、
実は 災害時に最も頼りになる重機のひとつ でもある。

地震・豪雨・雪害・火災後の復旧など、あらゆる災害シーンで活躍し、
自治体・企業・地域のBCP(事業継続計画)にも欠かせない存在だ。

ここでは、防災とフォークリフトの相性、
そして災害時に“安全に活かすためのポイント”を分かりやすくまとめる。


■① 災害時の“初動対応”に圧倒的に強い

フォークリフトは機動力が高く、災害直後に以下の作業を迅速に行える。

● 倉庫倒壊後の荷物移動
● 救援物資の搬入・仕分け
● 倒れた棚・資材の排除
● 浸水後の重い家具・機材の移動
● 商業施設や物流倉庫の復旧作業

特に パレット単位で一気に運べる ため、
マンパワーでは不可能なスピードで安全な場所へ運び出せる。


■② 豪雨・浸水時の“重い障害物撤去”に有効

大雨の後は、
・土嚢
・大型ゴミ
・濡れて重くなった家財
など、人では動かせない物が大量に現れる。

フォークリフトは
✔ 大重量の持ち上げ
✔ 水を吸って重くなった家具の運搬
✔ 濡れた資材の撤去
に非常に強い。


■③ 災害ボランティアセンターで大活躍

実際の被災地でも、フォークリフトは常に不足している。

● 支援物資の受け取り
● 倉庫への格納
● 各避難所へ仕分けて出荷

被災地では“1台あるだけで作業が何倍も早くなる”ため、
フォークリフト操縦者はボランティアとしても重宝される。


■④ 大規模避難所の運営で力を発揮

体育館・大型商業施設などを避難所にする場合、
フォークリフトは運営スピードを飛躍的に高める。

● 飲料水や食料の大量搬入
● ベッド・パーテーションの設置
● 段ボールベッドの大量輸送
● 使用済み物資の撤去

避難所運営は“物流そのもの”なので、
フォークリフトは欠かせない存在。


■⑤ BCP対策として“企業は必須レベル”

企業が災害に備えるうえで、フォークリフトは重要な戦力。

✔ 物流停止を最小限にする
✔ 破損物の撤去
✔ 救援物資の受け入れ
✔ 仮復旧の作業効率UP

特に物流・倉庫業・製造業では
フォークリフトが使えない=業務停止
につながるためBCPの柱となる。


■⑥ 使用時の“重大災害リスク”も忘れてはならない

メリットばかりではなく、
災害時こそフォークリフト事故が急増する。

● パニック状態で速度を出しすぎる
● 余震で棚が倒れる
● 夜間・停電で視界が悪い
● 路面冠水でスタック
● 非資格者が運転して事故

フォークリフト事故は死亡につながりやすく、
「災害だから」と無資格運転するのは絶対NG。


■⑦ 防災士が勧める“災害時の正しい使い方”

●① 有資格者を事前にリスト化

企業・自治体・地域で「誰が運転できるか」を可視化。


●② 鍵の保管場所を明確にする

災害時に鍵が見つからず使えないケースが多い。


●③ 高所作業は絶対にしない

フォークの上に人を乗せるのは論外。転落事故が多発。


●④ 荷物は“低い位置”で運ぶ

揺れ・不安定な床を考慮し横転を防ぐ。


●⑤ 災害用パレット・資材を事前に準備

・ブルーシート
・土嚢
・段ボールベッド
などをフォークで動かしやすいようにまとめておく。


■⑧ フォークリフトと相性の良い“防災装備”

● ソーラーランタン(夜間照明)
● ヘッドライト(運転者用)
● トランシーバー(誘導者と連携)
● 長靴・安全靴
● 軍手・革手袋
● 防塵マスク

停電・夜間作業を前提に準備しておくと役立つ。


■まとめ|フォークリフトは“防災強化の切り札”

フォークリフトは災害時に
● 物資搬入
● 障害物撤去
● 復旧作業
● 避難所運営
● BCP対応
で圧倒的な力を発揮する。

ただし、
「有資格者のみ」「安全ルール厳守」
が大前提。

正しく使えば、フォークリフトは
“災害時の即戦力となる最強の物流力”
になる。

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