クレーン車は、ビル建設や大型工事で活躍するイメージが強いが、
実は 災害現場で最も頼られる重機のひとつ でもある。
地震・豪雨・土砂災害・火災・雪害など、
“人の力ではどうにもならない場面”で状況を一気に動かすのがクレーン車の役割だ。
ここでは、防災の観点からクレーン車がなぜ重要なのか、
そして災害時に安全に活用するためのポイントを分かりやすく解説する。
■① 地震後の“倒壊建物・大型瓦礫”の除去に不可欠
地震災害では、
● 倒れたビルの外壁
● 崩落した鉄骨
● ひしゃげた車両
● 屋根・梁・大型コンクリ片
などが道路を塞ぐ。
これらはフォークリフトやショベルでは動かせない重量物が多く、
クレーン車の吊り上げ作業が唯一の解決手段になる。
● 道路啓開(道路を通れるようにする作業)
● 救助隊が侵入するためのルート確保
● 倒壊家屋の安全化
災害初動で「クレーン車が来るかどうか」で救助スピードが大きく変わる。
■② 河川氾濫・豪雨後の“巨大ゴミ”撤去に強い
豪雨災害では、濡れた家具や車両、倒木、コンテナなどが流されて溜まり、
重くて動かせない障害物が大量に発生する。
クレーン車は
● 水を含んで数百kgになった家具
● 巨大な倒木
● 流された車
● 店舗の什器
などを安全に吊り上げて撤去できる。
特に 道路・橋の復旧や物流再開のスピード に直結する。
■③ 土砂災害では“救助の最前線”に立つ
土砂崩れでは
● 巨岩
● 大量の泥
● 倒れた電柱
● 埋没した車
などが通行を妨げ、大規模な閉じ込めが発生しやすい。
クレーン車は
✔ 重量物を上から吊ってどかせる
✔ ショベルカーが入れない場所に届く
✔ 斜面にもアームを伸ばせる
このため、消防や自衛隊の救助ルート確保に必須となる。
■④ 火災現場でも“危険建物の解体”に使われる
大規模火災では、
・外壁が外れかけている
・看板や鉄骨が今にも落ちそう
・延焼の恐れがある
といった危険構造物が発生する。
クレーン車は、
● 倒壊寸前の壁を安全に引き倒す
● 看板・鉄骨を撤去
● 高所の危険物を取り除く
消防活動の安全を守るために重要な役割を担う。
■⑤ 被災地の“応急復旧”を最速で進める
クレーン車は、災害後のインフラ復旧でも大活躍する。
● 電柱の建て替え
● 破損した信号機の撤去
● 落ちた看板・大型設備の回収
● 空調機・発電機の吊り上げ
特に「電力会社・通信会社」は、災害時に大量のクレーン車を投入する。
■⑥ 災害時に“絶対にやってはいけない”危険行為
災害現場で多い事故は次の通り。
❌ 無資格者が運転して横転
❌ アウトリガー(脚)を張らずに作業
❌ 地盤が緩んだ場所で作業して転倒
❌ 上空電線にブームが接触
❌ 吊荷の下に人が入る
❌ 風の強い中で揺れた荷物が激突
クレーン事故は即死亡につながるため、
無資格運転は災害時でも絶対に禁止。
■⑦ 防災士が勧める“災害に強いクレーン運用”
●① 有資格者を名簿管理
企業・自治体で“操縦できる人”をリスト化。
●② アウトリガー使用を徹底
災害時は焦りで省略しがちだが、最重要。
●③ 地盤確認
冠水後や液状化の可能性がある場所は特に危険。
●④ 夜間照明を確保
クレーン作業は暗いと事故率が急上昇する。
●⑤ 誘導員(合図者)を必ず配置
単独作業は絶対にNG。
■⑧ クレーン車と相性の良い防災装備
● 高輝度ヘッドライト
● ソーラーランタン
● トランシーバー
● 安全靴・ヘルメット
● 反射ベスト
● ドローン(上空からの状況確認)
特に ドローン×クレーン の組み合わせは
被災地の“安全確認”に有効。
■まとめ|クレーン車は“重機の中でも最強の防災戦力”
クレーン車は災害現場で
● 倒壊建物の撤去
● 物流ルートの確保
● 大型物資の搬送
● 応急復旧
● 避難所運営の支援
で圧倒的な力を発揮する。
ただし、
資格・誘導・地盤確認・安全ルールの徹底
がなければ、事故を招く非常に危険な重機でもある。
正しく使えば、クレーン車は被災地にとって“命をつなぐ重機”。
自治体・企業・地域の防災計画に必ず組み込むべき存在だ。

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