ハイパーレスキュー隊――
名前は聞いたことがあっても、実際に何をしている部隊なのか、深く知られていないことが多い。
しかし彼らは、
「日本の災害救助の最後の砦」
と言っても過言ではない、超精鋭部隊だ。
ここでは、元消防職員・防災士の視点から
ハイパーレスキュー隊の役割・装備・強みを分かりやすく解説する。
■① ハイパーレスキュー隊とは?
正式名称は
「特別高度救助隊(Tokyo Fire Department Super Rescue Team)」。
東京消防庁が保有する、
● 最高レベルの訓練
● 最新鋭の装備
● 大規模災害への対応力
を持つ“最強の救助部隊”。
日本全国の消防の中でも、
トップクラスの技能を持つ消防士が選抜されて構成される。
■② 出動する災害は“普通じゃない規模”
ハイパーレスキュー隊は、
通常の救助隊では対応が難しい、以下のような災害で出動する。
● 大規模地震(阪神・淡路大震災、東日本大震災など)
● 大規模火災・ビル火災
● ビル倒壊・地下街事故
● 化学災害・毒物事故
● 大規模交通事故(列車事故など)
● トンネル崩落
● 風水害・土砂災害
● 大規模爆発事故
「最悪の状況」に投入される切り札と言える部隊。
■③ 超高度な装備が段違い
ハイパーレスキュー隊の強みの一つは“装備の桁違いさ”。
●① 救助工作車 III型(スーパーアンビュランス)
大型の救急スペースを備え、複数の負傷者を同時に治療できる。
●② クレーン付き救助車
倒壊建物の瓦礫を吊り上げて救助ルートを確保できる。
●③ 機動化学車
有毒ガス・化学物質を検知・除去する装備。
●④ 無人重機
危険区域に人が入らず、リモコン操作で作業。
●⑤ ドローン
上空から構造物や火災の状況を確認。
●⑥ 救助資機材(破壊工具・空気圧ジャッキ・防護装備)
倒壊家屋、車両事故、地下空間など、
あらゆる状況に対応できるフルセット。
装備の質も量も、日本トップクラス。
■④ 圧倒的な訓練量と専門性
ハイパーレスキュー隊は日常的に
● 高所救助
● 水難救助
● 地下災害対応
● 化学物質災害対応
● 車両救助
● 重機運用
● 瓦礫救助
など、全領域の訓練を行う。
さらに、
● 海外派遣訓練
● NATOや国際機関との協働訓練
● USAR(国際救助基準)資格
などの高度訓練もこなす。
“災害対応のプロ”というより、
「日本トップレベルの災害スペシャリスト」。
■⑤ 災害現場での“圧倒的スピード”
ハイパーレスキュー隊が現場に入ると現場は激変する。
✔ 地形・建物を瞬時に分析
✔ 道路啓開(ルート確保)が早い
✔ 瓦礫除去が的確
✔ 危険箇所の判断が鋭い
✔ 現場の司令塔として動ける
✔ 科学災害・化学物質でも対応可能
一般部隊では数時間かかる作業を
数十分でクリアすることも多い。
消防全体の意思決定も早くなり、
被災者の生存率が一気に上がる。
■⑥ 市民が知っておくべきポイント
ハイパーレスキュー隊を呼ぶのは市民ではない。
指揮本部・消防署が必要と判断したときのみ出動する。
ただし市民として知っておくべきことはある。
● 大規模災害ほど、救助には時間がかかる
● ハイパーレスキューが来てもすぐ助けられるとは限らない
● “自助・共助”が生存率を左右する
● 一般家庭の備えが遅れるほど現場は混乱する
どれだけ最強の救助隊がいても、
最初の数時間は自力で生き延びる力が必要。
■⑦ まとめ|ハイパーレスキュー隊は“日本の命綱”
ハイパーレスキュー隊は
災害対応力・装備・訓練・判断力のすべてが日本トップクラス。
● 日本最強の救助部隊
● 大災害の切り札
● あらゆる危険に対応できるプロ
● 生存率を最大化するスペシャリスト
だが、最強の部隊がいても
あなたの家庭の備えがゼロなら助けは間に合わない。
「プロに頼れるまで自力で耐える準備」
それが防災の本質だ。

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